トビウオ探し②シロフチトビウオ

こんにちは、夢海です️

 

今回もまたちょっと珍しいトビウオのお話。

7月に入ってすぐのこと、氷見港で揚がったトビウオが来ていた。

 

ここ最近の主力産地は岩手、宮城、千葉であり、石川のものは今年初めて見かけた。

ツクシかホソが大半かな、なんて見ていると、何となく違和感のある顔つきをした個体が混じっている。

その場で羽を広げることも出来ないので、「すみません、これ1本だけ。」といって買ってくる。

 

持ち帰り同定作業に取り掛かる。

ここで初めて胸鰭の模様を確認。

一面グレーや透明色という訳ではなく、うっすら模様があるように思える。

 

白い背景では目立たないので、まな板の上に置いてみてもやはりそうだ。

 

これを元に、検索図鑑と睨めっこに入る。

トビウオ類はネット上に転がる生鮮画像もそれほど多くなく、ちょっとでもマイナーな種になると、髭が生えていると人気の幼魚ばかりの画像になる。

 

更には私も普段しっかり見ている種ではない、どころか今年になってようやく力を入れて色々見ているという所なので、念の為、3回検索にかける。

腹鰭の位置や、下顎が飛びてていないかとの特徴と、胸鰭の模様からシロフチトビウオに落ちた。

 

 

シロフチトビウオの特徴

今回の魚はシロフチトビウオ。

特に書く予定もなく、何となくでトビウオを探していた際に見つけてしまった、というものである。

まあこういった"変わり種" を見つけるためにトビウオの箱を見ていたのは言うまでもない。

 

この思わぬ出会いに小躍りを踊りたくなる。

撮影後、卸すと黄色いあの子が混じっていた。

 

トビウオ類ならどんな種類でも付くのかもしれない。

 

現状見ていないのがカラストビウオのみで、アヤ・ハマ・ツクシ・ホソ・トビウオでは見ている。

少し前に書いたカラストビウオも手元に来たのが1個体のみで、たまたま居なかったのかもしれない。

幸いにも体の前半部に集中していたので、余計なトリミングはせずに生でも食べられそうだ。

 

 

シロフチトビウオの料理

シロフチトビウオの刺身

まずは刺身から。

 

トビウオ類はみな刺身で食べているので、比べるという意味で外せなかった。

買ってきた日に半身にし、ディデイモゾイドを除けて柵取りする。

 

尾の方を3切れのみ、

トビウオは今年だけで4種も生で食べている。

それも直近の話なので、味も詳細に覚えている。

 

そんな中で感じた本種の味わいは、イマイチであった。

身があまりに脆いのだ。

 

オマケに鮮度はいいので、味が薄いのである。

柔らかく、これと言った風味や味も感じ取りにくい。

見た目はいいので少し拍子抜けだ。

 

特に卵巣も抱えていなかった為、もしかすると産卵後なのかも知れない。

 

シロフチトビウオの冷汁

残りの半身、ディデイモゾイドのいた柵を焼いて味噌と混ぜ合わせる。

これを加熱し団子状にしておく。

冷やしたかつお出汁でこの味噌を溶いて、キュウリや豆腐などと合わせる。

 

火を入れると並のトビウオ程には味があるな、と思える。

少しぼそっとするので、単に焼いて食べるよりはひと手間あった方が良いであろう。

 

しかしこの評価は、本個体の状態であったり、漁獲時のダメージ等によるものかも知れぬ。

まだ1個体目の魚なので、今後も見つけたら必食すべし、である。

今年は冷や汁をひたすらに作る、作る、作っている。

 

暑さにバテぬよう、というのと、だし汁をタッパーに大量保存し、魚種問わず、刺身の切れ端なんかまでも拾い集めては焼いて味噌に混ぜている。

その中でも青魚は香りにより深い奥行きが感じられる。

本種もまた例外ではない。

 

半身と少しのみの身なので作れたのは一杯分。

だけど一食の中の、一汁をしっかり担ってくれた。

刺身はあれだったけど、天晴な汁であった。

 

 

シロフチトビウオの評価

価格   ・・・☆☆

コスパ  ・・☆☆☆

珍しさ  ・・☆☆☆

味わい  ・・☆☆☆

 

価格

・他のトビウオ類と同様。キロ単価で考えるとトビウオは買いやすく美味しい嬉しい魚である。

 

コスパ

・トビウオ類は総じて歩留まりが悪くない。単価も安いので実に庶民向けの季節を告げる食材であると感じる。ただ人体には無害な寄生虫、ディデイモゾイドの寄生率が高いので、やや敬遠されがち。

珍しさ

・トビウオ類は各種類の個体数が未知数。漁師、仲卸、料理人までもが、一括りに"とびうお"という認知の為である。稚魚などは採取界隈に季節の風物詩として人気だが、成魚は一般の人が採取できるような海域におらず、釣りでも掛かりにくい。流通、採取、食卓と、汎ゆる場での確認がされにくい魚であるため、おおよその流通量は見当がつかない。

・他のトビウオ類に比べ、生は味や風味が薄い、というのは本個体に限っての話かもしれない。種としての評価はまだまだ食べて調べる必要がある。

 

ライター紹介

副管理人:夢海 未利用魚の有効活用方を探して、様々な魚種を食べて美味しく食べられる方法を研究しております。今まで550種以上の魚類を食べてきました。変わった魚の食べ方を中心に公開させて頂きます。どうぞよろしくお願いします! Twitter: @YUMEUMI27 ブログ: 夢海のまったり魚日記

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