たぶんもう二度と出会えない朝〆のギンザメ

 

こんにちは、夢海です🐟️

2024年の秋は慌ただしく、毎日のように書きまとめたい魚がやって来てはタスクとして残り続けてしまいました。

そんなタスク消化のうちのひとつ。

思えばここ数年、一番魚種数買うのは秋であると、正確なデータは集計していないものの、撮り溜めた写真をみると分かります。

今年もまた充実した1年であると、いつやって来るのだろうとも思える締めくくりは12月10日現在、まだ来ない様子で、今日もまた市場で素晴らしいものを見つけてきました。

ギンザメの特徴

今回の魚はギンザメ。

それも鮮魚ではなく、どうやら活魚で入ってきたらしく、見つけた時には締められていたものの、血水に入れて放血している最中で、身も硬直前。

この美しき深海魚の生きた姿を見たかった…!と思う気持ちが半分、締めたばかりのギンザメが目の前にあるという興奮半分に、すぐに値段を確認する。

安いんだろう。なんて予想はしていたものの、想像以上の安さに思わず「え?それで良いんですか。」と思わず確認をしてしまう。

ならばこれください。産地はどちらで?

と聞くと神奈川県産とのこと。

市場に入る神奈川県産の活魚で多いのは佐島なので、あの辺りだろうか。と細かいとこまで聞けなかった分を補填する。

昼間に持ち帰り、その日の晩は出かける用事があったものの、身が硬直する前に食べておきたい!と、サッと卸してつまみ食いすることにします。

が、その前に計測と細部をササっと撮影します。

顔は言うなればフランケンシュタインのような継ぎ接ぎ跡のような模様が見えます。

まるでネズミの様な頑丈な歯をしている。

頭部前方に前額把握器(ぜんがくはあくき)と呼ばれる突起がないため、本個体は雌個体となります。

↑雄には頭部にこのような突起があり、外見からでも雌雄の区別が容易な魚となります。

ギンザメはこれまで手元にやってきた4個体全て雄個体であったため、雌個体を撮影できたという点でも今回の大きな収穫です。

さて観察はここらで。

肛門のところで切り分けて、尾の方を3枚におろして切り付けていきます。

↑切り口の断面から盛り上がる筋肉。

過去に活魚で買ってきた当日に捌いたネコザメでも同様の様子が確認できました。

活魚で仕入れてきたものに共通する。ものの、なかでも軟骨魚類綱は特に身が反り返る気がします。

まだ活かっているものをこのまま試食してみることに。

ギンザメの料理

ギンザメの刺身

肛門下、尾にかけての身を背と腹切り分けず刺身に。

購入当日、昼間に帰宅し、晩にはまた出かける用事があるという日だったので、持ち帰ったまま慌ただしくおろしていく。

肛門下の肉が太い部位を何切れか取り、これをつまみ食いする。

見るからに強そうな筋が通っているが、これが意外に硬くなく、筋が断ち切れるプチッとした食感が心地よい。

反発する弾力ある身で、ザラザラと感じられるのは鮮度の良さからであろう。

噛むと奥にある甘味がじわっとやってくる。

これを九州の甘醤油とわさびに合わせて食べるとびっくら、美味すぎるではないか。

ギンザメはこれまでパッとしない印象の魚だったが、活け〆、しかも朝締めたものとなると別格である。

福岡などでも活魚流通させれば価値が高まりそうだと思うが、実際には輸送に気を使う魚であるため難しいでしょう。

しかしこんなものまでもが入ってくるなんて、豊州恐るべし。

ギンザメのお造り

購入翌日はお造りとして盛ってみました。

背の身を薄く切り付け、尾の身の皮を炙り焼き霜に。

身は透明感があり、血合いの色味も鮮やか。

見た目がまず美しいと感じさせてくれます。

初日に比べ身は硬直し、やや硬さがあるものの、薄く造ったことでおいしくいただけます。

この日は普通の刺身醤油でいただくこととします。

サッパリしたと、筋に当たるとはじけたような食感はあり、身そのものはネットリとしています。

ほんのり甘味があり、サメ類に感じられる渋味がかすかに感じられます。

湯引きにしても間違いなくおいしいことでしょう。

今回は作りませんでしたが、次回は試してみたいです。

ギンザメの焼霜は初めての試み。

このおいしさには驚きました。

身の淡白さを補ううま味が皮目にあり、

酢味噌にも合いそうだし、高知の”ぬた”で食べてもよさそうだ。

知らなかっただけでいろいろ面白そうだなと可能性を色々感じさせてくれます。

ギンザメの握り

背の身を斜めに、大きめに切り付ける。

これをわさびとつける。

焼霜と皮を取り除いたものをつけました。

購入から2日経ち、身の張りも収まって柔らかさが感じられる頃合いです。

ギンザメは上品な類なので、思ったよりも味気ない。そこで補うのが焼霜であり、皮の旨味、食感がここに追加される事で、楽しい一貫となる。

完全に味を殺してしまう発想にはなるが、好みでツメ(煮詰めたタレ)を塗っても美味しそう。

ギンザメの割下

割下を用意して煮立たせる。味が整えば湯通ししたギンザメの切身やアラ、野菜を入れてひと煮立ち。

ギンザメは火を通すと柔らかくなることを知っていたため、間違いなく鍋に合うだろう。それも醤油よりは割下が適すだろう。と捌きながら考えていました。

半身相当の肉にカマ・頭を入れて、更におまけで余っていた日生産の生牡蠣、ネギなどをぶっこむ。

旨味が溶け込んだスープに浮かぶギンザメはまるで高野豆腐のように汁を吸い、噛むとじゅわっと広がる。

驚くほど癖がなく、ほんのり感じられる鉄味のような渋味は、ホシザメやドチザメなど、近海のサメ類にも見られる特色と類似します。

この優しい質感に優しい甘味の割下。絶対に合うと思ったんだよな、見る目があるぜエッヘンだなんて言っている余裕なんてないほど、雲のようにふんわりとした食感が大変おいしく、これだけの量があったというのにふた晩で完食。

〆にうどんを入れる事も忘れて、汁まで飲み干してしまいましたとさ。

ギンザメフライ

問答無用のうまさ。

ギンザメは身の脂が少ない分、油を使った調理と相性がいい。

フライはサメ類の渋味が抑えられ、より上品さが前面に出てくる。

淡雪のような柔らかい繊維は揚げても尚、細かさが分かり、タルタルよりもソースに合うような食感に感じられる。

魚のフライとしては、アジフライのような"主役級のおかず"には遠いものの、パンに挟んで食べるような、特にこだわらない白身フライとしては使い勝手が良い。

ギンザメのかば焼き

3枚に卸して骨から外したものをタレを塗りながらじっくり焼き上げる。

皮は厚みがあるのでやや丸まります。

身は柔らかく、表面のカリっとした質感との食感の違いがいい。

かば焼きというと代表的なものはウナギを思い浮かべるところですが、小骨と脂のないアナゴが近い比喩となりそうです。

純粋な海産魚という点と、あまりに上品すぎる点からウナギのような大きな期待は背負わせてはいかん!なのでしょうが、それでも十分過ぎるほどに美味い。

細く、短い繊維が雪溶けのように、花開くように広がり、厚みのある皮はもちっとした食感。

香ばしさに重なり、脂もないので当然余韻は上品さのあるものとなります。

困ったのはこれをおかずとして食べるか、つまみとして食べるか。

いまいち、味のインパクトに欠けるので、発想は面白いけど味は弱いかな。

ギンザメの評価

価格   ・・・☆☆

コスパ  ・・・☆☆

珍しさ  ・・☆☆☆

味わい  ・・☆☆☆

 

価格

・原則安いもの。まとまって水揚げがないこと。底曳網などで水揚げされ、スレているものが多いことなどで、比較的値は付かない。

 

コスパ

・歩留まりは良い方ではない。尾の細い部位も取りやすいため、狙うなら大型のものがいい。しかし単価は安いので、大衆的な白身よりは正味あたりの可食部は安いもの。

 

珍しさ

・冬場であれば相模湾、駿河湾などで水揚げが見られる。漁のあるタイミングなどを狙わなければならないが、比較的産地で探すと入手困難な種ではない。豊洲への入荷は稀。

 

・"サメ"と付く魚は真っ先にアンモニア臭と紐付けて語りたがる人が多い。処理の悪いメジロザメ目など特に感じられるが、原則臭くない食べ物である。増しては本種からそのような臭みを感じたことはない。上品な味わいで、皮も薄く鱗もないので下処理が楽で美味しい。サメ類に感じられる特有の渋味がややあるが、これも個性であり、嫌味のあるものではない。

 

今回は朝〆のギンザメを購入して、調理法にして6品作ってみました。

今後同じ鮮度感のものはまず手に入らないだろうという一生に一度の出会いが出来たことと、今後調べようがないデータが取れたという大きな成果を大変嬉しく思います。

一般的に見られるものは底曳きであったり、遥々遠く九州などから2日かけてやってくるものとなりますが、当然それとは比較できません。

改めてギンザメ、うまいな!と感じられる機会になり、2024年の締めくくりとしては有意義なものでした。

 

ライター紹介

副管理人:夢海 未利用魚の有効活用方を探して、様々な魚種を食べて美味しく食べられる方法を研究しております。今まで550種以上の魚類を食べてきました。変わった魚の食べ方を中心に公開させて頂きます。どうぞよろしくお願いします! Twitter: @YUMEUMI27 ブログ: 夢海のまったり魚日記

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