秋のヤマトカマスは安くて美味くて嬉しい魚!

 

こんにちは、夢海です🐟️

 

やっと涼しくなり始めた9月の下旬。

窓を開けて換気していた夕暮れ、秋の香りが外から漂い、無性に焼き魚を欲していました。

 

季節のもので言えばサンマがまず先に上がるでしょうが、残念ながらサンマは調査で根室産のものをこの前日に食べています。

となると焼いて美味いもの、それも1尾を丸っと焼き上げて美味いものがほしい。となり、少し前に地元のスーパー調査で、いつもとは違う方面へ調査に出た際に初めて訪れたスーパーで見かけたある魚が脳裏に浮かびました。

 

なんだか今日は置いてある気がする。

そんな想いでいつもとは違う方面へ寄り道という形で訪れました。

するとありましたありました。目当てのものが、それも非常にいい状態の鮮度もいい光るものが並んでいます。

 

雨の中遠回りした甲斐があった。

日頃の行いがいいからだろうか。しめしめ。

なんて下らない事を考えながら、水溜りにも足を取られない軽い足取りで帰宅しました。

 

 

ヤマトカマス(水かます)の特徴

今回の魚はヤマトカマス。

別名水カマスとも呼ばれ、本カマスと呼ばれるアカカマスに比べやや小さく、安いものになります。

 

今回の個体は26〜29cm、90〜120gと、焼くだけでなく色々な用途でちょうどいい大きさ。

 

これが値引きなし1パック298円なので都内で買えるものとしては非常に優秀でしょう。

ちなみに隣に並んでいたサンマは100〜110グラム前後のもので400円。

 

幟であったり、販促物で装飾され、トレーも豪華に見える華々しい見た目のものにパッキングされていたところを見ると、世間にとっての秋魚はせいぜいサンマにサケくらいなのだろう。と感じてしまいます。

そのきらびやかな売場のせいか、水かますそっちのけで皆サンマを手に取ります。

カマスも秋に美味しいものなのでサンマの影に隠れた秋魚であることは間違いなく、残っていた5パック全て買い占めていこうか。なんて思いもしましたが、家には三陸から送っていただいた定置網の魚たちが眠っていたので2パックで我慢することとします。

 

本スーパーの鮮魚売場では基本的に冷凍もの、塩干物が主力で、チルドの丸魚はサンマとカマスくらいでした。

しかし前回訪れた時も水かますが並んでおり、しかもラウンドと開きまで置いてあるという良心っぷり。

ここのバイヤー分かってるじゃん。なんて偉そうな事は言えないけど、応援したくなる面白いスーパーを見つけたと大大大満足です。

 

ヤマトカマスなどカマス類は細長く色彩も似ている。

 

背鰭・腹鰭の位置関係から種が分かることもあるので、同定のキーになるので忘れず写真を撮っておきたい。

今回の6尾はみなヤマトカマス。

アカカマスと比べるとやや青みがかっている上に、鱗も小さく表面の質感が違うように見えます。

 

鮮度抜群!な水かますは持ち帰りすぐに同定、撮影、調理へと入ります。

正直スーパーなんて鮮度は捨ててコストを優先に考えるものであると思い込んでいましたが、どうにも今回の水かますは鮮度がいい。

試しに腹を割ってみても内臓は溶ける前のようだったので、太さがあり身もがっしりしているものを選って、とりあえず3尾を3枚におろします。

 

水かます。なんて言うものの、旬を迎えたヤマトカマスは水々しくなく、しっとりとした断面からは脂も感じられます。

 

3尾を卸したうち1尾は加熱調理に。

すると2尾分で4枚あるはずが何故か1枚別室(トレー)に避けられて待機。

とりあえず残りの3枚に塩をしてから酢締めにします。

 

2本は背開きにします。

 

片方は頭を落とし、鰭も取り除いた状態に。

もう1尾は頭ごと開いて干物にでもするとしましょう。

 

最後1尾は食べたかった塩焼きで!

内臓を取り除き、水洗いしてから塩をして30分冷蔵庫で置いておく。

表面から出た汗を拭いて再度振り塩をしてから焼き上げる。

 

 

ヤマトカマスの料理

ヤマトカマスの刺身

酢締めにしようか。なんて考えていたところ、あまりのものの良さに思わず片身1枚の皮を引き、刺身にしてしまいました。

 

先ほど別室(トレー)に避けられていたのはこの子です。

120グラム前後の魚体を卸して半分にして皮を引いて、残った可食部で考えるとおおよそ30グラムほど。

これを3等分にしてすりおろした生姜を添えていただきます。

 

アカカマスの脂っこい感じはなく、白身版マアジといった滑らかな質感と酸味、後からじわっと感じられる甘味があります。

水かますは過去にも鮮度のいいものを入手した事があったものの、調理は焼きや唐揚げといった基本的なものしかしませんでした。

刺身うまいな!!

 

ヤマトカマスの塩焼き

1尾は水洗い(鱗、内臓を取ること)をし、切れ込みを入れて振り塩。少し寝かせて焼き上げます。

 

切れ込みを入れたことで余分な水分がとびぼそつかず、皮はサクッと、身はふっくら仕上がっています。

 

脂は薄いものの、旨味が非常に強い。

カマスといえば焼き用の魚であるのには色々な理由があるのかも知れませんが、食べる事でああこれは焼きたいな。となれます。

アカカマスはここに強い脂があり、重厚感のある違った旨さがありますが、日々のおかずで食べるならば圧倒的にヤマトカマスが美味く感じられます。

 

ヤマトカマスのフライ

開きにしたものはフライで。

ソテーした野菜を下に敷いて立派なおかずの一品になります。

ここ最近で調理したどのフライよりも断トツにこの水かますが美味くて驚きました。

 

一口目からボリュームある旨味。

この100グラム少しの魚体でも水分が抜けて縮んだ分、厚みが感じられ大変美味いです。

皮目から香るカマスの旨味、そして身は繊細で細かい繊維質で、ほわほわっと食感が広がります。

 

天ぷらでも十分に美味く、なんならこのサイズを天ぷらにするというのはなかなかの贅沢だとは思いますが、今回はあえてフライにしてみました。

 

ヤマトカマスの握り

酢締めと酢締めを炙ったもの。

わさびで単につけました。

 

まずは単に酢締めから。

 

味見をした時ですでに美味く、何よりも皮が柔らかいのでそのままでも当たりません。

身のとろけるような旨さと、酢で締まった身の表面。そして中心の酢で完全に締まっていない部分はなめらかでとろけるような印象。

こんなに美味いなんて!

 

一方で炙り。

 

水かますとおくらの炊き込みご飯

まずはフィレ状にして骨を取り除いた1尾分の水かますを素焼きにします。

 

続いて米を2合準備。

1尾につき2合がちょうどいい分量です。

シシトウとオクラを刻んで一緒に炊き、仕上がれば混ぜ込んで完成!

 

久しぶりの炊き込みご飯と、久しぶりの水かますという久しぶりづくしで気分上々!

温かい飯を求めるあたり、過ごしやすい季節がやっと来てくれたと感じます。

 

この旨味たっぷりなヤマトカマスをほぐすと焼けた魚の香りがほわっと広がり、他に同時調理していたものを一旦止めて、茶碗によそったままに頬張ります。

色々な食材が実りの時期を迎える秋に食べる炊き込みご飯って、生物多様性が織り成す一品だよな。と毎年食べる度に強く思えます。

オクラの青い香りがあり、ヤマトカマスの旨味があり、醤油で全体にまとまりのある仕上がりとなります。

 

水かますの干物

最後は干物で締めます。

 

 

細い細い繊細な旨味が束になったように押し寄せ、口の中が美味いで渋滞を起こします。

何度も言いますが、脂は薄い。

しかしその分ヤマトカマスそのものの味が良いんだと言うことを思い出させてくれ、アカカマスとは違った味わいが楽しめます。

 

 

水かますの評価

価格   ・・・☆☆

コスパ  ・・☆☆☆

珍しさ  ・・・☆☆

味わい  ☆☆☆☆☆

 

価格

・ありがたい事に安い魚。一般的には焼きなどで使われる惣菜的なものだが、産地の近くで鮮度のいいものが手に入る場合は刺身も非常にうまい。

 

コスパ

手間は掛かるものの歩留まりがいいのでコスパのいい魚。

 

珍しさ

・太平洋に多産する。特に高知〜相模湾など。全国流通する魚ではないが、産地は広いので大きい都市部では比較的見られる魚ではないかと考える。

 

味わい

・非常にうまい。品のある旨さというよりも、青魚のようなストレートド級なパンチを繰り出してくる。素の味でここまで美味しい魚はそういない気がする。旨味は強いものの、青魚のような臭さもなく、万人受けするようなもの。

 

今回は水かますこと、ヤマトカマスを堪能しました。

贅沢という言葉は必要以上な。というような意味がありますが、近年ではこういった忘れ去られてしまいそうな季節の食材を見つけることが贅沢である。と私は思えます。

苦労しなくとも年中季節感が味わえてしまう現代で、旬の魚・野菜を探し回って季節を巡ってくという生活は楽しいものなので、町中のスーパーで見かけた"見慣れないもの"と出会えた時はぜひ一度手にとって調べて、調理して、食べて、ほしいものです。

 

ライター紹介

副管理人:夢海 未利用魚の有効活用方を探して、様々な魚種を食べて美味しく食べられる方法を研究しております。今まで550種以上の魚類を食べてきました。変わった魚の食べ方を中心に公開させて頂きます。どうぞよろしくお願いします! Twitter: @YUMEUMI27 ブログ: 夢海のまったり魚日記

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