久しぶりのテンジクダイはコンゴウテンジクダイ

 

こんにちは、夢海です🐟️

 

年間を通して魚を食べ歩く(自分で調理が主だが)私にとって、年に2度、魚が手に入らず干からびそうな思いをする時期がやってきます。

それは年末年始とお盆休みという漁師、運送業者、市場みんな平等に休もうという期間であり、今回はお盆休みの話となります。

前もって発注していた鹿児島の鮮魚BOXが無事に台風にもやられず届いてきたので、この内容で長い魚のない期間をやり過ごすとします。

 

という書き始めはカタボシイワシでも同じ内容で書きました。

今回紹介するものもお盆前に取り寄せた鹿児島の鮮魚セットに入っていたもので、今回送って頂いたものの中では一番珍しいのではないかと思います。

 

 

コンゴウテンジクダイの特徴

今回の魚はコンゴウテンジクダイ。

水産業の方であれば恐らく聞いたことがないであろう魚です。

どちらかと言うと、分類学やダイビング、論文を読むような方であればおそらく知っている・聞いたことがあるという方の割合が高いのではないかと思います。

 

体色は全身ブラッドオレンジのような、飴細工のような、非常に美しいオレンジ色をしています。

 

目は身体の割に大きく、瞳孔を貫いたような黒帯が目の中心を通ります。

 

尾鰭に黒い斑があり、これが帯状であればアオスジテンジクダイ。やや丸みを帯びていればコンゴウテンジクダイとのこと。

他にも鰓耙数でも見分けが付くようですが、今回の個体は鰓と内臓を取って送っていただいたため確認出来ず。

アオスジであったとしても大型のテンジクダイ科は初めてなので、せっかくなので半身は刺身で頂くことにします。

 

身は白く脂は感じられない。

水分はあまり感じられずもちっとした弾力があり練り物にするには上質さが感じられるのは、瀬戸内でテンジクダイが練り物に利用される事も納得させてくれます。

 

皮目は背が銀色、腹は金色とかなり特色がある見た目をしています。

いつしか試し食いしたネンブツダイはオレンジ色が強く出ていましたが見た目が似ているので、これを料理に活かしたいという方はぜひネンブツダイでお試しあれ。

 

 

コンゴウテンジクダイの料理

コンゴウテンジクダイの刺身

まずはお刺身を。

 

内臓が抜かれているとはいえ、元の魚体が54グラム。

これに対して片身の肉だと15グラムあるかないかと言ったところでしょうか。

実質味見として食べるようなものです。

 

これが意外にも風味があり割とうまいものでした。

 

身はほわっほわっと軽い弾力があり、これはすり身にして美味しいのだろうな。と予想がつきます。

実際瀬戸内などで漁獲されるねぶと(標準和名テンジクダイ)も練り物などにして利用されます。

このねぶとを使った商品にはまだ出会えていないので、近々瀬戸内沿岸地域を訪れる際に探してみたいところです。

 

コンゴウテンジクダイの唐揚げ

残り半身、というより頭も何もかも全てそのまま、切れ込みを入れて塩をし、小麦粉をまぶして揚げていきます。

 

丁寧に二度揚げをして仕上げると頭も中骨も全てサクサクいただけます。

骨や鰭を含むため香ばしさが混じり、そこへ身のホカホカっとした食感が感じられます。

この香ばしさが混じる心地のいい軽い食感、というのが小魚の唐揚げの素晴らしい点で、昔は漁港でネンブツダイを拾ってきて唐揚げにしていたな。なんて懐かしい記憶を辿っていました。

 

結論を話すと、(味覚という観点で)コンゴウテンジクダイをわざわざ食べるという意味は正直薄いです。

テンジクダイは小型魚ゆえ、その小さい魚体から 感じられる味覚情報は多いものではありません。

その為他の同科魚類と比較しても大差ないであろう。と思えます。

 

しかし、定置網で度々混じって揚がるような話は聞くので、ダンベ(食用に回さない魚を入れておく場所)に入れられてしまうなんて事も考えられます。

飼料になったりと、そのまま全てが廃棄される訳ではないでしょうが、それでも魚好きな方が見かけた際は救って愛でてあげてもらえれば良いのかな。と私は思います。

 

 

コンゴウテンジクダイの評価

 

価格   ーーーーー

コスパ  ・・・☆☆

珍しさ  ・☆☆☆☆

味わい  ・☆☆☆☆

 

価格

・一般流通しない。あっても売られることはなく捨てられる事が殆どだと思われる。

 

コスパ

・小型のテンジクダイ科の中でも大きくなり食べごたえはある。丸ごと使い唐揚げなどが無駄なく食べられる。

 

珍しさ

・滅多に出会えない。漁業では定置網に入ってもダンベ行きとなり、流通に乗ることはまずないと思う。今回送っていただき大変感謝しています。

 

・上質な身をしている。数があれば練り物で。小さいものは頭も丸ごと揚げることで食べられる。骨は強いが低温→高温の二度揚げで気にならず食べきることが出来た。

 

今回は比較的標準和名が最近ついた珍しい魚、コンゴウテンジクダイを頂きました。

ダイビングでの画像などは度々見られますが、ネット上で食べたと公開しているのはおそらく私が初めてかと思われます。

テンジクダイはまだまだ魅力的な面白い種類がたくさんいるので、食に関わらずまたご紹介できる場があればいいなと思います。

 

内之浦の皆さんには、貴重な機会を頂き大変感謝です。

 

ライター紹介

副管理人:夢海 未利用魚の有効活用方を探して、様々な魚種を食べて美味しく食べられる方法を研究しております。今まで550種以上の魚類を食べてきました。変わった魚の食べ方を中心に公開させて頂きます。どうぞよろしくお願いします! Twitter: @YUMEUMI27 ブログ: 夢海のまったり魚日記

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