梅雨本番前【愛媛産のイサキ】

こんにちは、夢海です🐟

さて、桜は咲きいよいよ春本番。

 

海の季節の移ろいは早いもので、そろそろ市場には梅雨の魚が顔を出すだろうと考えていました。

 

 

イサキの特徴

私の好きな魚にイサキがあります。

年間何度も買っては季節ごとに味を確かめ、産地にサイズも変えたり、寿司屋であれば欠かさず食べたりと、見かけりゃ食べる。くらいの勢いでイサキを消費しています。

 

市場では割とありふれた存在で、見かける機会も少なくありません。

その中でも丸いものがあれば買うし、安ければ買います。

さて、そんなイサキは梅雨が最も美味く、毎年この時期をまだかまだかと待ち望んでいます。

 

今回は4月に入って早々、漁獲日で言えば3月末に水揚げされた愛媛県八幡浜産のイサキがやけに気になり、思わず2本購入してしまいました。

 

まだ季節本番ではないものの、梅雨へ向け徐々に良くなっていくのだろうな。という面影の伺えるやや丸い個体。

31.9cmTL426g、32.4cmTL453gと、0.5kgを切る小さめの魚体になります。

そのサイズでも単価は2,000円前後と、まだ水揚げの少ない時期だからか少々割高に思えます。

 

明らかに丸みがあり、同じ日に見かけた山陰のものが細く見えてしまうほどです。

帰って早速卸します。

 

身はまだ十分に脂がなく白くはないものの、赤くもない。

産卵前の柔らかさはなく身はしっかりしています。

 

腹骨をすくと脂のサシが見え、腹骨を捨てるために手に取るとペタッと指先につきます。

これは良いのではないかとワクワクしながら調理へ取り掛かります。

 

 

イサキの料理

イサキの造り

まずは刺身から。

 

 

皮を引いたもの。薄く大きめに切りつけました。

 

しっとりした口当たり、重すぎない滑らかな味わいで、じわじわ増す旨味があります。

絡んでくる粘度のある脂で、甘味が長続きします。

それでいて身はサッパリとしているのでいくらでも食べれてしまうタイプの白身で、とても3切れでは物足りませんでした。

 

焼霜。

 

初めてはいつだったか忘れてしまったものの、イサキの皮を炙って食うというものに出会えた時は感動しました。

バーナーで表面がパリッと軽く焼きあがる程、強めに炙ります。

皮は厚く反りやすいので鉄串などで固定し、炙った後に氷水で冷やすと綺麗に切れます。

 

焼いてうまい皮と、甘味のある刺身を同時に堪能できる、”イサキの良いとこどり”なもので、私はこれが好きでイサキを度々買っているようなものです。

皮に塩を振っているので、これにレモン果汁を絞るもよし。

 

イサキの焼霜握り

イサキは昔近所の釣り好きのおじさんによくいただいては塩焼きにし食べていたため、刺身より焼き用の魚だという考えでいました。

これが小学生頃の話で、その後、炙りや刺身で食べるイサキにハマったのは10代後半。

学校を卒業し、収入を得るようになってから寿司屋で出会えたのが最初だったと思います。

 

「おやイサキがある。生で食べたことがないからいただこう。」なんて軽い好奇心で頼んだら出てきたのが皮を炙ったもの。

これがまあ美味いこと美味いこと。

当時はバーナーをもっておらず、憧れの道具でした。

 

さて、そんな二十歳前後の話が気がつけば悲しいことに5年以上前の懐かしい出来事になってしまっています。

が、やっぱりイサキは美味い!と食べる度に思えるのは今も変わりません。

 

このしっとりした身質に香ばしい皮目。シャリと合わさっては消えていく。

塩とレモンで味をきゅっとした引き締め、ツンとしたワサビが際立ち、上品で雑味がなく程よい脂身はしつこさがなくついつい次々に手が伸びてしまいます。

イサキは毎日食べたって飽きない魚でしょう。

 

イサキの握り

皮を引いたものも握りに。

皮目にうっすら見える脂の様子からうかがえるように、舌触りもなめらかで甘味を感じます。

 

イサキは皮を活かして尚よいものですが、寿司であれば皮を取ったものも違った美味さがあり個性があります。

 

身は柔らかいためシャリとの馴染みが良い。

人肌くらいの温かさのシャリで付けると、甘味のある油分が溶け出し、イサキの風味がより広がります。

夏季であれば是非塩すだちで。

 

イサキの炊き込みご飯

残りの半身を塩を振って軽く焼いておく。

これを炊飯器へ入れて米と共に炊けば完成!

 

これを混ぜ込み茶碗に盛り付け、小葱を散らして完成。

 

焼いたイサキのうまさは知っている人ならば、ゴクリと喉を鳴らすのではないでしょうか。

 

淡白ではあるものの、イサキ特有の磯の香りが交った皮の旨味が米と混ざり、さらりさらりと空腹の腹に消えて行きます。

3合分炊いた飯を茶碗3杯分食べたところで、おっと、いけない。と火にかけていたものを思い出しました。

 

米を炊くと同時に、イサキ2尾分のアラを使い出汁を取っていました。

醤油で味を調え、炊き込みご飯にかけまわします。

 

かつお節を乗せ完成!

炊き込みご飯を出汁茶漬け風にしてみました。

一度で二度おいしい炊き込みご飯になりました。

 

しかし出汁の香りというのはなんとも食欲をそそるもので、食べながら腹がなり、サラサラかき込みすぐさまおかわり!と、食べる手が止まりません。

これは比喩なんかではなく、実際に食べながら腹が唸り、"食べながら腹が空く"なんとも危険な食べ物となってしまいました。

出汁の美味いご飯はサラサラと吸い込むように消えて行き、気づけばこの日は米を茶碗5杯分食べていました。

 

 

イサキの評価

価格   ・・☆☆☆

コスパ  ・・☆☆☆

珍しさ  ・・・・☆

味わい  ☆☆☆☆☆

 

価格

・いいイサキは当然高く、市場でキロ3000円超えているのも度々目にする。小さくてもキロ1000円は下回らない。安くはない魚。

 

コスパ

・歩留まりは普通〜やや良し。出汁が取れるのであら骨は残しておきたい。

 

珍しさ

・一般的。冬場にはあまり見かけない。

 

・非常に美味。

 

今回は梅雨本番前のイサキを購入し頂きました。

しかしまあ、やっぱりと言わざるを得ないほどイサキは美味い!!

今年もこのあと何度も買うことでしょう。

マアナゴにハモ、ウメイロやマイワシなどなど、毎年梅雨は美味いものが増え忙しい時期となります。

季節のものを食べるので忙しいという感覚は、なんて贅沢なんだ。と、この季節が来るたびに思えます。

 

 

水族館で出会ったイサキ

新江ノ島水族館で撮影(23.4.5)

 

イサキは比較的見られる水族館が多い。

写真の大型個体よりはウリ坊サイズを多く目にする。

ライター紹介

副管理人:夢海 未利用魚の有効活用方を探して、様々な魚種を食べて美味しく食べられる方法を研究しております。今まで550種以上の魚類を食べてきました。変わった魚の食べ方を中心に公開させて頂きます。どうぞよろしくお願いします! Twitter: @YUMEUMI27 ブログ: 夢海のまったり魚日記

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