旅先の魚①ユメカサゴ

7月上旬、見たい魚がおり、福島県いわき市内の水族館へ向かう。

水族館のついでで、スーパーに立ち寄る時間があれば何軒か見に行くというのが私の旅の醍醐味の1つでもある。

そこでめぼしいものがあれば買うというのが最近の定番になりつつある。

せっかくなのでシリーズ化、してみる。

7月に入ってすぐのこと。

これ以上ないだろう。と思えるほどに湿度が高く、海沿いなのに風がなく空気が停滞しているのが肌で分かるような日であった。

近くには積乱雲が迫り、帰りがけは空を気にしながら行動していた。

さて、この日は地物が少なかった。

駅近くのよく行くスーパーへ足を運ぶと、本来時期には早いけど、カツオは千葉県産で、赤身は宮城のだるま(メバチ)、小名浜水揚げのクロマグロなどが並ぶ。

白身は宮城などからの陸送もの。

産地からの近さを感じさせてくれる鮮度の良さで光っている。

思わず、チダイに手が伸びそうになったが、これならば同じものが翌日に市場でも買えるだろうと我慢した。

そんな中見つけた唯一の白身で地物はのどぐろのみであったのでこれを購入。

のどぐろと言ってもアカムツの事ではなくユメカサゴである。

ノドグロと聞くと、リッチな魚だと感じる人の多くは”ノドグロ=アカムツ”を連想していることだろう。

しかしユメカサゴもまた喉元が黒く、確認した場所だと東北太平洋側と、沼津近辺で見かけている呼び名である。

探せばノドグロと呼ばれる地域はもっと多いと思う。

脂の乗り方は違えどどちらも美味しい魚である。

見かけた時にこれは煮付けだと咄嗟に思いついた。

氷をもらえるか分からない、保冷バックもない。等で、売り場をぐるりぐるり考えていたけど結局買ってきた。

ドライアイスは少しいただけたが、この夏の暑さの下、3時間の移動なので少し心もとない。

帰宅後すぐに下処理を行う。

沼の内港水揚げ。大きさは21.9㎝175g、22.4㎝175gのもので2尾買ってきた。

他に黒キクラゲとインゲンなども購入。

ここ最近、チョッとした近郊でも出かけると野菜や調味料、魚などを買ってしまう楽しみができた。

帰りは地元高校の練習船が獲ってきたというメバチと、メヒカリの唐揚げと、ネギ塩丼を食べながら帰る。

下戸だし、電車は悪酔いしそうなので飲まなかった。飲みたいけど。

ユメカサゴの料理

ユメカサゴの煮つけ

立春のあたりに行った時に買ったいわき味噌を少しだけ加え、味噌煮じゃないけど少しコクのある味の煮付けにする。

野菜はインゲンと、他の地域からお連れした生姜、を加える。可能な限り地元のもので揃えて調理してみる。

しっとり柔らかな旨味あり、ちんまりした肝も、この小ささからはまさかと思うほどの深みがある。

前浜もので鮮度がいいので、肝などに嫌味がない。

買ってきた翌日の昼ご飯だったけど、先日の風景を色々思い出す。

ユメカサゴの干物

もう1尾はここ最近ハマっているカサゴの干物を。

丸ごと1尾、背開きにして干す。

皮目の脂、柔らかい身のしっとり具合が心地いい。

米の友にも良いし、つまみにもなるサイズ感と深みのある味わいだ。

そしてユメカサゴは皮が厚くなく、柔らかいため箸で簡単に摘める。

身離れが良いのもまた魅力的である。

福島いわき市の方々はこんな素晴らしい魚が日常的に並んでいるのが羨ましく思う。

旅先のスーパーは実に面白い。

時間を割いてでも訪れる価値あり、だ。

この料理の消費量が多い街だけど、品揃えはどうかとか、生産量が多く特産品のこれはどうだろう。なんてデータを調べた、知った上で見に行くのもいい。

もちろん魚に限らず、野菜でも肉でも、酒だって良い。

よりその地域に対する理解が深まり、帰った後もその食品を見ると思い出せる。

するとより深みのある旅となる。

 

ライター紹介

副管理人:夢海 未利用魚の有効活用方を探して、様々な魚種を食べて美味しく食べられる方法を研究しております。今まで550種以上の魚類を食べてきました。変わった魚の食べ方を中心に公開させて頂きます。どうぞよろしくお願いします! Twitter: @YUMEUMI27 ブログ: 夢海のまったり魚日記

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