過去一美味しいセミホウボウに出会えた

こんにちは、夢海です🐟

 

今年の秋は西へ北へと色々なところを巡り、いそがしい毎日を送っております。

そんな合間でも仕事前に市場を調査することは欠かさず行っており、和歌山への旅を終えた翌日の豊洲でこんな魚に出会えました。

 

 

セミホウボウの特徴

今回の魚はセミホウボウ。

 

 

大きな胸鰭に派手な柄がある魚を見せると「ホウボウだー!」なんて答えていただくことが多く、毎度ホウボウの知名度の高さに驚かされます。

このセミホウボウも写真なんかを見せると「ホウボウ?」と返ってくることが多いです。

 

しかしこのセミホウボウ、名前に"ホウボウ"つくものの、ホウボウ科のホウボウに対し、セミホウボウ科のセミホウボウと科レベルで違い、それほど近い種類ではありません。

姿も比較すると胸鰭の大きさが異なる点や、セミホウボウは全身をゴツゴツした鱗に覆われている点など、違いが見られます。

 

 

セミホウボウはこの目立つ胸鰭に注目してしまいますが、アンテナのような背鰭もまた特徴のひとつです。

 

背鰭第1棘が分離し、なんと背鰭が合わせて4基あるというやたらと鰭の多い魚。

一般的な魚は背鰭が1基、もしくは2基のものが多く、中には日常的に見かけるマダラなどのたら類でも3基と、セミホウボウの背鰭は多いということについてご理解頂けるのではないかと思います。

 

表面は硬く鱗が皮膚とほぼ一体化している。

鱗を落とすことはまず出来ない為、調理で使う場合は基本的に皮を引いて使います。

包丁で皮を引くか、棘状になっているためケガしないのように軍手なんかがあると剥がしやすいでしょう。

 

卸してみると大きな肝に内臓脂肪がまとわりついていました。

身に脂があまり移る魚ではないので、ふつう半透明色をしていますが、今回の個体は濁りがあり手にはしっとりと脂が付きます。

 

 

セミホウボウの料理

セミホウボウのお造り

まずは巨大な胸鰭を活かして造りにしてみました。

その魚の特色を活かして造ると面白みが出るように思えます。

 

赤茶色の体からは想像つかないような白い綺麗な身をしています。

 

セミホウボウはまさにスポット的な魚で、見かけれる度に買っちゃう、たまたま買った鮮魚BOXに入っていると小躍りしたくなる。などと、ちょうど欲しいなと思う頃に現れてくれる子です。

その為これまで10個体以上は食べてきましたが、今回のものはその中でもダントツで美味。

 

元々味の良い魚で、コリコリとほどよい食感のある硬い皮目に、身は柔らかく噛む度に血合いからほのかな酸味が香り後を引く。というのがセミホウボウの美味しいところ。

しかし今回の個体はそこへ脂の甘味も乗っかり、まったりとした甘さ、重めの歯ごたえ、そして最後は爽やかな香りで消えてゆく。

 

半透明色な肉に鮮やかな赤色の血合いが入り、表面を銀色の皮目が覆い見た目にも美しいため、歩留まりは良くないもののぜひ刺身にしたい魚です。

 

セミホウボウ鍋

残りの半身を骨付きのまま鍋にしました。

定番の野菜を適当に買ってきてはカットし投入。味付けは手間がかからず間違いなく美味いダシを効かせて醤油ベースで。

汁の表面には溶け出した脂が浮かんでおり、非常にサラサラとしたスープで喉越しがとても良いです。

 

硬く感じない程度に締まった身は、繊維が太くブリっとした食感が特徴。

噛むと奥からホクホクと旨味が伝わってきます。

 

この旨味はタラのような、淡白でありながら奥深い味わいです。

 

 

セミホウボウの評価

価格   ・・☆☆☆
コスパ  ・・・☆☆
珍しさ  ・・・☆☆
味わい  ・☆☆☆☆
価格
・まとまって入荷があった為か、はたまた特別ものが良かった為か、セミホウボウにしては割高に感じられた(キロ¥2000ほど)。少し前までは未利用だの言われていたであろう魚ではあるものの、全般的に漁獲量が落ちていることもあり価格が上がっているものも見られる。

 

コスパ

・歩留まりはあまり良くない魚。まず皮は使えないし、今回のように加熱するのであれば骨付きで調理するのをオススメする。

 

珍しさ

・頑張って探せば手に入る。

 

・大変美味。白身にしては味が濃く、加熱すると適度に締まり噛むごとに旨味が溢れ出てくる。

 

 

今回はセミホウボウをご紹介しました。

市場に並んでいると「なんだこりゃあ。」となりそうな見た目をしていますが(実際に購入した仲卸さんの店頭でもそうだったらしい)、セミホウボウはそんな見た目に反してかなり美味い魚。

 

今回は紹介できませんでしたが、フライや煮付けにしても美味なため見かけた際はぜひお試し下さい。

 

セミホウボウの見られる水族館

セミホウボウは展示している施設が少なく、あまり出会えない。

個人的には閉館してしまった油壺マリンパークの印象が強い。

新江ノ島水族館ではたまに見られ、先日訪れた京都大学白浜水族館でも出会えた。

※いずれも必ず会えるものではありません。

 

葛西臨海水族園では、近縁種の「フライングガーナード」という海外産のセミホウボウに近い魚も見られます。

 

ライター紹介

副管理人:夢海 未利用魚の有効活用方を探して、様々な魚種を食べて美味しく食べられる方法を研究しております。今まで550種以上の魚類を食べてきました。変わった魚の食べ方を中心に公開させて頂きます。どうぞよろしくお願いします! Twitter: @YUMEUMI27 ブログ: 夢海のまったり魚日記

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