羅臼の魚②サケビクニン
こんにちは、夢海です🐟️
耐えきれない程の暑さの終わりがまだまだ見えてこないような8月の下旬。
北の地へ旅へ行った反動で、なんだか北の魚が食べたいぞ。ということで羅臼の魚を頼んでいた。
あれやこれやと珍しいものをうんと詰め込んでいただき、到着してからは大忙し。
その中から今回はサケビクニンを調理していく。
目次
サケビクニンの特徴
今回の魚はサケビクニン。

クサウオ科コンニャクウオ属に属する、火の玉のような幽霊みたいなかわいい魚である。

ポワポワ〜とか、そういう擬音語がここまでよく当てはまる魚はそうそういないであろう。

腹ビレには吸盤があるが、すぐ後ろが肛門になっており、汎ゆる臓器がキュッと体の前に集約されている。
そのせいか、オタマジャクシのような、火の玉のような面白い見た目となっている。

このサケビクニン、なかなかの大きさで、持つとずっしりしている。
下処理は慣れれば容易。
まず、鱗はないのでヌメリを必死に落とす。
しかし力を込めすぎてしまっては身が傷つくのでいい塩梅で。
これが難しいのである。
頭を落とすと、底生魚らしい泥臭さが内臓から漂ってくる。
過去に扱った1個体もまた同様のにおいがした。
恐らくは海底の餌を泥ごと取り込んでいるためなのだろう。
この魚、というよりコンニャクウオ属では多いのかもしれない。

内臓からは卵巣が出てきた。
粒は大きく、サケとほぼ同様のサイズである。
ならば醤油漬けにしよう!と塩水に漬け、味をつけようとしたところで萎れてしまい、こちらは作れなかった。
なかなかデリケートで、膜は硬いが破れやすいという扱うのが難しい魚卵であった。
また次があれば試したいところだ。
サケビクニンの料理
サケビクニンの煮付け

サケビクニンはヌメリを最低限取り除き、煮崩れしない程度でじっくり湯通しする。
あとは通常の煮付け同様に調理する。
すこ〜し泥臭さが身からも感じられるが、それも気にならない。
深い、濃い海の味がする。
身は少しだけしまり、まるでじっくり煮込んだ肉のようにも感じられるが、それよりもはるかに柔らかい。
ちびちびちびとつまみ、仕上げは医者殺しでしめるのがいい食用法かもしれない。
ブヨブヨ系の魚にしては、かなりまともに食べられる。うまい。
サケビクニンの天ぷら

この水の塊のような魚が、果たして上手く揚がるのか、と切身にしたサケビクニンを見て不安になる。
衣をしっかり付けてみると、意外にも綺麗に揚がる。
水分が油へ漏れ出る寸前で取り上げる。
煮付けなど、一緒にやって来たアバチャンと大差がない味であったが、アバチャンは小型の個体だったので天ぷらは本種でのみ試してみた。
味は、サケビクニン特有のにおいがある。
やや、泥底をほのかに感じる、深い海の香りがある。
でも気にならない程度のもので、それを上回る旨味が確かに感じられ、塩、天つゆのどちらとも相性が良かった。
食感はとろとろ。油のある魚とか、アナゴなどの倍以上は柔らかい。
問題は凍結して質が変わるか否か。
変質しないのであれば冷凍フィレにして、業務用にあっても良さそうだ。
これはぜひまた食べたく思う。
サケビクニンの評価
価格 ・・・・☆
コスパ ・・☆☆☆
珍しさ ・・☆☆☆
味わい ・・☆☆☆
価格
・恐らくは廃棄されているもの。混獲物であり、本種が目的の漁は行われていない。売りに出されないからこそ、入手も難しい。
コスパ
・歩留まりは悪くない。体高があり頭部は小さく、ある程度の大きさがあれば厚みもでる。
珍しさ
・種としては普通だが、手に入れるとなると、混獲物であるという事を考え入手困難。
味
・味は悪くない。総菜的な魚として日常的にあっても良いと思う。
あとがき
次回は柄付きのサケビクニンのような、アバチャンを紹介予定です。
面白いことに本種とは味が異なるというのが見どころなのでそちらもぜひ読んで頂けると嬉しいです。
副管理人:夢海 未利用魚の有効活用方を探して、様々な魚種を食べて美味しく食べられる方法を研究しております。今まで550種以上の魚類を食べてきました。変わった魚の食べ方を中心に公開させて頂きます。どうぞよろしくお願いします! Twitter: @YUMEUMI27 ブログ: 夢海のまったり魚日記



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