小型のナガオオメハタは優等生

2025年12月10日

こんにちは、夢海です🐟️

 

今回は和歌山から来ていた、ちょっと珍しいものを購入。

水氷でどさっと、市場では見慣れない白い小魚が並んでいる。

食べたことはある魚だけど、市場で見ないという面白さから足を止めてしまったのだ。

 

「あいよ、いらっしゃい。」

と聞き慣れた声がする。

 

 

ナガオオメハタの特徴

うっかり足を止めて見事に買う事となった今回の魚はナガオオメハタ。

まあ、頻繁にお世話になっているところで、何かしら買ってみるつもりで覗いたのだ。

 

白むつだったり、デンデンと呼ばれる白い小さい魚である。が、今回のものはその中でも明らかに小さい。

 

どうやら和歌山でこれが連日揚がっているという話を聞いた。

大きさも小さく、恐らくは成熟前の個体、生まれて一定期間経った若魚ではないか。なんて考える。

 

そういう時期なのか、今年はたまたまなのか、この魚の生活史について詳しく書かれているものは見当たらなかったので、色々と興味深く、考えてしまう。

 

これを9尾ほどもらってきた。

小型なのでキロ単価は安い。

 

知名度と需要がある魚でも、この大きさとなると手間がかかる為である。

アカムツもこれ程の大きさであれば安く買い求められる。

無論、積極的には採らないでほしいサイズではあるが…。

 

今回の主役、ナガオオメハタは大きくなっても100g程。(オオメハタ属の中でも小型種)

 

さて、ごそごそっと選ってきたものの中から、ヒゲオオメハタという、オオメハタ属の中でも珍しい魚を探してみたものの、皆ナガオオメハタであった。

ヒゲオオメハタ、いると思ったんだけどなー。

 

 

ナガオオメハタの料理

ナガオオメハタの焼霜握り

ナガオオメハタは3枚に卸して小骨を取り除く。

わさびと合わせてつけ、塩をしてこれを炙る。

鮮度のいいものはここに肝をのせて炙ってもよい。

 

まだ脂が再び固まる前のものをそのまま口へほおる。

すると、芳醇な脂の香りが広がる。

 

シャリとの馴染みがよく、とろけて合わさる様子がわかる。

これがなんとも美味いのだ。

 

この味を知っていれば、これ程の小魚を必死に仕込みたくなるなる動機など説明は不要。

ひと仕事してみる価値在り。

 

ナガオオメハタの天ぷら

ナガオオメハタは開きにし、衣をつけて揚げる。

 

脂はそれほど多くないのでカラッと揚がる。

これに塩をつけて食べる。

 

天ぷらにすると、個性的なものと、定番的なものに分かれる。

本種は後者で、個性に欠けるが無個性でない。美味しい白身だな、と感じられる程にうまい。

筋肉の節(ふし)のほろほろ崩れる粒感など、それこそキス天と同じように味わえる。

 

ほろほろ解れた繊維の隙間から、旨味が溢れてくるので、サクッと衣を割ると同時に香りが広がる。

ちょっと仕込みが大変だけど、深海の小魚の天ぷら好きなんだよなー。

 

ナガオオメハタの煮付け

ナガオオメハタはエラワタを取り除き、醤油で炊く。

 

小さく、身が脆いので煮崩れを起こしやすいため、汁は沸騰させずにじっくり火を入れる。

少し冷まして味を染ませてから食べる。

一旦冷ますと身が固まり、身離れも良くなる。

 

小型で脂もほどほどなので味は平凡だが、日常的に食べるおかずならこれくらいで丁度いい。

ワガママを言うならば、もう少し大きいもので食べたい。

 

ナガオオメハタの塩焼き

ナガオオメハタはエラワタを抜き、じっくり焼き上げる。

これが非常に美味しい。

 

皮は硬くもっちりしている。

身離れも、決していいとは言えるものではないが、豊富な旨味があり無我夢中でかぶり付いてしまう。

雑味がなく、純粋な美味しい白身が詰まっているというだけなのにやたら美味い。

 

 

ナガオオメハタの評価

価格　　　・・・☆☆

コスパ　　・・☆☆☆

珍しさ　　・・☆☆☆

味わい　　・☆☆☆☆

 

価格

・今回の個体は小さい事もあり、かなり安かった。大型になると白むつなどと呼ばれ、それなりに値が付く。

 

コスパ

・頭が大きいため、歩留まりはやや悪い。小型であれば姿で丸ごと唐揚げなどにも使える。

 

珍しさ

・水産の世界ではやや珍しいが、魚種としては比較的普通。ワキヤハタ類がまず中央卸売市場への入荷が少なく、あってもワキヤハタ、オオメハタなどが多い。ナガオオメハタはより小型で、まとまって揚がらない事が考えられる。

 

味

・美味しく万能。手間を気にしなければ非常に優秀。

 

今回はナガオオメハタを頂きました。

なかなか見る機会は少ないものの、沼津などの深海魚の漁獲のある街を覗いてみると、近縁のオオメハタ類は手に入る確率はやや上がる。

大きくなると単価も張ってくるが、アカムツとは違った旨さが味わえ、一見の価値ありです。