メダイは白身の優等生

2025年3月25日

こんにちは、夢海です🐟️

10月、一時的に時化ているときがあり、魚があれこれ高くなっている中で良いものを探してこなくてはならない。なんて事がありました。

 

メダイの特徴

今回の魚はメダイ。

神津島から釣り漁獲、船上〆の非常にハリがあり、ヌメリのない良いものが来ていたので購入。

 

目に濁りがなく、体も光沢がありヌメリも新鮮なので鮮度は間違いなし。

江戸前ではないものの、メダイは東京の離島(神津島や八丈島)、千葉などからドサっとまとまりやって来るので高鮮度のものが手に入りやすい。

 

目が大きく愛嬌ある顔つき。

 

鱗はほぼ剥がれておらず、尾鰭までしっかり残っている。

定置網などのものでは野締めの為か漁獲時のストレスか、全身黒いものが多いが、今回の個体の腹側は白い。

生時に近い体色をしています。

 

尾柄も太くいい個体。

 

このビシッと残った鱗をしっかりと剥がします。

 

皮膚は白く、背面は青い。

購入翌日は知り合いに魚を振る舞うというイベントがあったので、この日は仕込みしてあらを調理します。

 

メダイの骨は非常に柔らかく、半分に割るのは非常に簡単。

一般的家庭の包丁でも容易です。

 

卸すと乳白色の身が顔をのぞかせる。

卸した身に膨らみがあり、上に盛り上がる様子が見て分かります。

 

 

メダイの料理

焼霜と昆布締め

まずは刺身から。

単に刺身としてももちっと程よい食感と噛むと感じられる旨味があり美味ですが、これを昆布締めや炙るなどひと手間加えるとより美味しくなります。

 

メダイを卸し皮を引く。戻した昆布に酒をぬり、塩を軽く振りかけて切り身にしたメダイを並べて真空しておく。これを1〜2日置くといい感じになります。

メダイの繊細でどこかぼわぼわ〜と儚く広がって消えるような旨味がより洗練され、身の水分を飛ばし、昆布の旨味が入ることでキリッと引き締まる。

 

18で社会に出て、下町の入りやすい良心的な価格の回転寿司で初めて本種の昆布締めを食べた時、感動のあまり5皿は食べた記憶がある。

これはサゴシの炙りも同様で、水産や魚食が楽しいと現在に至る道筋のきっかけになった一つとも言えるのがこのメダイの昆布締めである。

 

一方で焼霜は今回の個体の粘液が少なく、水洗いをして鱗とヌメリが落ちたので、表面を炙りました。

焼霜は恐らく初。

 

皮は硬くはないものの、炙り足らないとやや口当たりが悪くなってしまうのでしっかりめに炙ります。

焼いてうまい魚は炙るとゴージャスな味わいとなり、メダイもまた皮が美味く、そこを炙ることで潜在的な旨さが引き立ち、香ばしさと共に重い味覚の一撃を叩き込んできます。

振る舞った人たちにも好評で、自他共に納得な美味さということでした。

 

メダイの兜塩焼き

半割にした頭は両面に塩をしておく。

 

表面に水分が現れてきたら拭き取り、これを弱火で中心部までしっかり火を入れる。

大きさの割に可食部は少ないものの、使わず捨ててしまうには勿体ない美味しさなのであらも是非活用を。

 

頭部にはベシャっとしない程度の水分があり、これを塩でしっかり抜ければ非常に美味しく仕上がります。

カマは問答無用、語らなくても分かる美味さで、メダイでも最も味の強い部位です。可食部が小さいのが非常に残念でならない。

今回手元に無かったスダチがどうにかして欲しいと感じるほどでした。

 

メダイの兜煮付け

残り半身は湯がけをしてヌメリを落とし煮付けに。

 

メダイの身は程よく締まり、煮崩れしづらいのに食べやすい。調理する者と食べる者どちらの味方にもなってくれる嬉しい素材です。

頭部は食べる箇所が意外に多く、カマ付きの頭一つで酒の友にも飯の友にもなります。

特に可愛らしいまぁるい頭を覆うプルプルした皮は煮汁が染みてて、カマは焼くのも美味いけど頭部は素直に煮付けた方が美味しく食べられてよりよいでしょう。

 

メダイの握り

握りは昆布締めしたものではなく、半身をパーチに包んでおき寝かせていたものを卸して切身にし、これを単にわさびにつけたのみ。

血合いの色こそ綺麗とは言えないものの、味は非常にいい。というよりシャリとの馴染みがとてもいい。

 

どこかしら味気なさもまたメダイの良さであると思っています。

わさびでなくたって、ポン酢をかけてもいいし薬味を添えたっていい。

自由な食べ方をさせてくれるのが本種であり、もっと購入するハードルが低くて良いものである。と感じます。

 

メダイフライ　ホワイトソースがけ

ホワイトソースと言いながら殆どグラタンのような半固形物となりました。

魚にあうソースを作れればレパートリーも増えるだろう！と、ソースは研究中の分野で、試作のひとつです。

メダイはフライにして非常に美味であり、今回も二切れ、揚げるために最初に取っておきました。

 

皮付きできつね色に揚がったフライをソースを敷いた上に並べる。

お好みで色々ハーブを効かせても良いし、市販のドレッシングを試してみたって良い。

 

メダイはザ・白身魚な味わいで自由な組み合わせをさせてくれるので、何も難しく考えず、とりあえず揚げてみよう。でソースは気分次第で変えたって良いもの。

それだけメダイは自由な食べ方が出来るし、満足感だって強い魚です。

油を使うのが面倒ならばパン粉焼きのように魚焼きグリルや、(使ったことないけど)魚焼きシートのようなものでフライパンで調理が出来るでしょう。

 

使える幅は広いであろうものなのに名前と見た目の目立たなさから、大衆魚と呼ばれる面々に埋もれている悲しい子なので見つけたら食べて欲しいです。

 

 

メダイの評価

価格　　　・・・☆☆

コスパ　　・・☆☆☆

珍しさ　　・・・☆☆

味わい　　・☆☆☆☆

 

価格

・大型のものは高いものの、今回紹介したような小型のものは買い求めやすい。まとまって同じ型のものが出回るので売り手側も売りやすい魚だ。

 

コスパ

・紡錘形の体型で歩留まりがいい。価格も控えめ。コスパのいい魚と言えるであろう。

 

珍しさ

・私の活動拠点である関東では一般的。近年、天然魚が少なくなってきている為か小売店でも加熱用の切身や刺身も度々見かける。高級鮮魚店へ行くと大型の個体の切身などが売られる。

 

味

・個体によって味にムラが少なく、当たり外れの少ない魚である。単に刺身でもいけるが、昆布締めなどひと手間加えるとその食感の良さに旨味が追加されより美味しくなる。

 

今回はメダイを紹介しました。

大型のものこそ漬魚などでは高級ネタで、和食割烹などで好まれる魚ですが、1kgくらいになると庶民に優しい価格帯となり、買い求め易い嬉しい魚になります。

近年では大手スーパーでも普通に切身などで見ることができ、手ごろな上、味も間違いなしな優等生、メダイを是非見かけたら食べてみて欲しいです。