間違いのない上物!佐伯産マイワシ
こんにちは、夢海です🐟️
気がつくと薄暗い中市場へと向かう季節がやってきました。
朝晩は涼しいものの、昼間は昨年と変わらず秋とは思えないジリジリとした暑さで季節を忘れてしまいます。
10月頭になり、海産物は種類が増えて食べるものが多く忙しい時期となりました。
この日はマルコバンや未食のゴマフエダイなど、気になるものが色々ありましたが、それ以上にこれは絶対に食べたい。というものを見つけました。
目次
マイワシの特徴
今回の魚はマイワシ。
今年はマイワシを定期的に食べていて、10月現在で50個体以上食べています。
この日は特にマイワシを購入する予定はありませんでしたが、この日並んでいたのはキロ3000円近くする高級もの。
普段食べているのは1尾60円しないくらいの中羽いわしなので、たまには贅沢するのも良いな。と迷わず購入してきました。
今回のマイワシは大分県佐伯産。
昨年旅をした地であり、魚が地域に、生活に根強く紐づいた魚の街でした。
ここで水揚げされる仕立てがひと際いいブランドがあり、今回のマイワシもそのブランドもの。
水産に携わる方であればおそらく伝わると思います。
ここの産地のものは魚種問わず全ていい状態で、今回のマイワシもまた下氷に綺麗に並べられ、輝いています。
1尾では堪能出来ない。5尾では多すぎるし値も張る。ならばと3匹購入してきました。
骨を落とすために落とした腹の断面を見ると厚みがあります。
皮を引くと青い背と銀色の薄い膜がしっかりと残り、断面からのぞかせる赤い血合いとのコントラストが非常に美しいです。
マイワシの料理
マイワシの握り
まずは握りから。
丸々半身1枚にしたのでかなり大ぶり。
しかしせっかく高いイワシを買ってきたので十分に味わおう!という事で豪華な使い方をしてみます。
まずは普通の握りから。
通常のイワシとの違いは意外にも脂が回り過ぎておらず、しつこさがなく後味があっさりしている点。これは以外でした。
みずみずしさがあり、鮮度の良さが舌の上を転がる身の質からも伺えます。
これも丁寧な処置からまだ身が活きているのか、旨味が十分に回る前だと推測されます。
つまりは丁寧に首折れにし下氷で綺麗に仕立てられたマサバと同じようなもの。
これは言い換えれば数日は余裕で鮮度保持が可能で、使い手によって食べ頃を見極め使おう!とできるものなのです。
今回のものは漁獲の翌日か翌々日のものであり、まだまだ鮮度が大変いい状態で頂きました。
青魚の旨味はみずみずしさであっさりして食べやすく、脂も重みがなくサラサラと溶けていくのがわかります。
持った魚体のずっしり感を味にも期待しましたが、思いの外控えめ。
食べやすさはあるものの、大きさと胴の太さ、実際に感じられた脂というものは味に反映されていないように思えました。
つまりは人によって好みの期間寝かせると言うことが可能な非常にいい状態と言えるでしょう。
青魚は複雑で難しいものです。
炙りの方は岩塩を軽く振り炙る。仕上げに生レモンの果汁を搾って仕上げます。
こちらは火で脂がバチバチと音を立てて周りに気をつけなければ燃え移るんでないか。なんて思えるほどに、バーナーの青い炎の先がオレンジ色へと変わる様子がわかる。
炙りたてホカホカをササッと撮影。
これをそのままホイと放り込みます。
生でつけたものよりも火が通り脂が表に出てきた事から、圧倒的にこちらの方が味に重みがあります。
せっかくのフレッシュさが感じられるので、今回の個体であれば炙らなくともいいや。と思えますし、今回の大型の個体はなかなか出会えないので、その身のボリュームを最大限楽しむのであれば炙るべきだ。とも思えます。
やはり青魚は難しいです。
まいわしの一夜干し
続いては一夜干し。
丸干しにすることが多いマイワシですが、今回は大羽という点を活かして開いて干しました。
胴の厚さと表面の脂を考え、焦げすぎない事も考慮した上での形となります。
さて、干して表面はやや硬く乾いていたのに、イワシの脂が表面へと漏れ出てきて干物とは思えないジューシーさがあります。
豊富な脂がバチバチと煙をあげて燃え、自然と揚げ焼きとなり、あじなどの干物とはまた違った香ばしさが感じられます。
握りに使った骨もここで揚げ焼きにします。
揚げ焼きと言っても油を一切使わず、塩をして干物とガスコンロで焼くだけ簡単♪
他の魚ではまずこれでは食べられるほど柔らかくはなりませんが、マイワシの柔らかい骨、そして豊富な脂は旨味のクリームを口いっぱいに浴びせてくれます。
食べきってから、酒やみりんを塗ってつけ焼きにしても良かったか。思いきって西京味噌に漬けてみても良かったか。なんて色々思い出しました。
5本買っておいても損はなかったな。なんてここでもまた小さな後悔。
照り煮
小さいフライパンで味噌煮にしようとしたものの、分量があまりに少なすぎてしまった失敗作で、照りながら煮たので照り煮という料理にしたと言うことにします。
あまりにやる事が多すぎて、3口あるコンロをフル活用しながら湯を沸かし、魚焼きグリルでも魚を焼いている。なんて事は多々あります。
で、イワシ1尾なら小さいフライパンでいいや。と油断をしていたら煮汁があっという間に飛んでしまい香ばしい香りがしてきます。
味噌を入れるタイミングをすっかり逃したので、申し訳程度に味噌を溶かし、みりん多めで照り煮とします。
素材が優秀なのでこれも十分に美味しいので結果オーライ。
味噌煮が食べたかった気分ではあったものの、その脂の量からこれ以上こってりさせないでくれ〜と胃が訴えているようにも思えます。
汁を使った料理なので脂がマイルドにはなり、旨味が手前側へと現れて味のバランスが非常に優秀なものとなっています。
内の筋肉の部分は脂がそれほど分布していなのかややボソっと食感。
しかしこういった食感の違いのアクセントから味が複雑に感じられ、飽きがこない奥深さを感じさせてくれます。
血合いはツヤっとした舌触りのいい食感で、何よりも皮も美味い。いわしの皮は割と厚みがあるので結構な存在感があります。
煮たのかフライパンで焼いたのかも分からないなんとも中途半端な一品となってしまいましたが、素材のおかげで結果美味しくいただけたので満足です。
マイワシの評価
価格 ・☆☆☆☆
コスパ ・・☆☆☆
珍しさ ・・☆☆☆
味わい ☆☆☆☆☆
※今回のマイワシで評価
価格
・マイワシの中でもトップクラスの価格帯。1尾1尾手間をかけた丁寧な仕立てと、大きいサイズから価値は十分に高い。
コスパ
・単価の高い魚なので刺身にして使いたい。歩留まりはいいのでコスパは悪くない。
珍しさ
・同産地のものを探すのは苦労する。それほど見かけないもの。上物なので中央卸売市場で見られる確率が高いかも。
味
・脂が強すぎず、イワシの良さが濃縮されたような
今回は上物のマイワシを食べました。
総合的に見ると一長一短あるなと感じられました。
食べ親しんだ通常の脂が強い単純ながらストレートなパンチのある強い味のイワシも当然美味しいし、今回の繊細さが混じりつつフレッシュさがピカイチなイワシも価格に見合った価値があるように思えます。
今回のマイワシ、仕立てのおかげもあり見た目が非常に美しいので、少々値が張ってもきれいだなと思えるものは是非一度挑戦してみてください。
副管理人:夢海 未利用魚の有効活用方を探して、様々な魚種を食べて美味しく食べられる方法を研究しております。今まで550種以上の魚類を食べてきました。変わった魚の食べ方を中心に公開させて頂きます。どうぞよろしくお願いします! Twitter: @YUMEUMI27 ブログ: 夢海のまったり魚日記
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