季節調べ 秋のクロダイ

こんにちは、夢海です🐟️

今回の魚はクロダイ。

 

 

徳島からの遠征を終え、忙しかった10月に日常が戻ってきた。

市場を歩いていると、これといって食べたい魚が見当たらない。平凡なものが多い中であった。

すると、朝〆で売られているクロダイを見つける。

 

クロダイにしては少し早い気もするものの、活魚を〆めたばかりのもので、黒く光っている。

当然、鮮度は間違いがない状態である。

これを冷やし過ぎず、身が硬直しないように持ち帰る。

 

産地は千葉県産。

内房とのことで、江戸前産である。

 

36.5㎝、911gと、クロダイにしては平均的な大きさで、体系もまだ太くはなく、冬のクロダイらしさは見られない。

秋のクロダイの身質はいかがであろうか。

 

 

クロダイの料理

クロダイの刺身 

購入当日、つまりは〆めたその日に食べたが、脂由来の甘みが感じられる。

 

皮を引いてみても確かにしっとりしているのだ。

皮を取ってしまったので、磯の臭みも感じない。

塩なんかで食べれば、深みすら感じ取れる。

 

食感はもちろん素晴らしく、皮目のやや硬い質と、内側のふんわりした弾力が美味である。

〆めてすぐでは旨味がなく美味しくない。なんて言う人も最近は多くなったように思うが、結論食べる人が美味しいのならばそんなもの問わないで頂きたい。なんて考えてしまう。

海域や個体差はあるだろうが、切れ端を翌日に食べたが、寧ろ硬いように感じたので、このクロダイは当日で正解だったと思う。

 

辛味噌海鮮鍋

クロダイは骨を外し、中骨を一度焼いたらこれで出汁を取る。

出汁を具に入れ、火を入れつつアサリが開くのを待つ。

 

煮えてきたらワカメと水菜を入れて、味をつける。

 

醤油と、新潟で買った鮭の魚醤を少し加える。

味噌を溶かし、刻んだ鷹の爪を散らして完成。

 

今季初の鍋となった。

クロダイを思い浮かべると、アサリや養殖ノリが食べられてしまうという、食害のニュースを目にするようになった。

 

最も、干潟の確保が十分で、資源管理が行き届いていれば彼らもわざわざ養殖ノリをむさぼり食うような事はなかったのではと考えてしまう。

沿岸の餌が不足しているのが問題なのだ。

話が脱線してしまう上、鍋が冷めてしまいそうなので話を戻す。

 

純粋に、沿岸性の魚で皮に風味があるものなので、味のある海産物と相性が良いのではないかと考えた結果なのである。

突然のひらめきだったので、岩海苔のような鍋に適しそうなものは手に入らなかった。なので三陸産のワカメで代用。

 

アサリは千葉県産。こちらも江戸前ものなので、同じような海域で獲られたものなのだろう。

こんな時期なので身入りはそれほど良くない。

産地にこだわらず、北海道の大アサリでも良かったかと後悔を少々。

 

しかし煮えた鍋を前にすると、そんな後悔も吹っ飛ぶ。

クロダイは部位によって風味が異なる。

腹の皮目は磯の風味があり、これを辛味噌が包むので臭さは感じず、スープとの相性の良さが伺える。

 

背の身の内側は白身の豊富な香りが感じ取れる。

 

さすがに寒いなと感じる中だったので、この芯から温めてくれる感じが有り難い。

酒は日本酒など良いものを頂いたりして溜まってきたが、今回は白米にぶつけてみる。

青森県産青天の霹靂を炊く。

 

昨年度米だが、新米が出てきたことによってこのブランドにしては破格だったのだ。

いつのもの、なんてどうだって良くなる程、香りが良く粒が立つ。

ピリリと辛い汁と、野性味のあるクロダイの旨味。

 

ご飯が進まない筈がないのだ。

 

クロダイの煮付け

クロダイの頭は梨割りにし、湯通しする。
鱗を落としたら難しいことはせずに通常通りに煮る。

一旦火を止めたあとに冷まして味を染ませる。

 

すると汁には脂が浮かび、砂糖を多く入れたにも関わらずやけにサラサラとしているのだ。

それだけ豊富に脂質がある個体だったことが分かる。

 

さてこれを炊き立てのご飯にぶつけてみる。

 

すると大変な化学反応を起こし、骨をも飲み込むほどの勢いでほほ肉、頭肉、カマ肉をホジホジし、ひたすら食べる。

脂が抜け、その隙間を埋めるように汁が入りこんでくる。

そのため染み染みしている身がご飯の友止まりではなく親友なのだ。

 

山口の宇部あたりでは鍋割りチヌなんて呼ばれ、鍋をつつき壊してしまうほど美味い。とも言われるが、文字通りである。

この場合、"皿割り"、だけど。

〆は医者殺しで骨の旨味も吸い尽くす。

 

髄まで美味いなんて、ありがたや〜。

 

 

あとがき

今回は秋のクロダイをいただいた。

 

例年、クロダイは春先にかけて、卵を持つだろうなんて時期に、食べるものがなく買っているものだった。

当然、この時期のものは味が非常に良いのも理由である。

その為、アレコレ食べたいものだらけな10月にクロダイを食べるのは、恐らく始めてなのだ。

 

魚体はそれほど厚くはない。な筈なのに、案外侮れない。

クロダイはもう、時期が始まっている。

 

ライター紹介

副管理人:夢海
未利用魚の有効活用方を探して、様々な魚種を食べて美味しく食べられる方法を研究しております。今まで550種以上の魚類を食べてきました。変わった魚の食べ方を中心に公開させて頂きます。どうぞよろしくお願いします! Twitter: @YUMEUMI27 ブログ: 夢海のまったり魚日記

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