トビウオ探し①カラストビウオ

こんにちは、夢海です🐟️

 

6月も半ばが過ぎ、1年の早さに薄々と気が付き始めていた頃。

日々流通するものも移り変わり、地上が溶けるような暑さになる少し前には海も夏らしくなっていた。

そんな中に、晩春頃から目にする魚でトビウオ類がある。

 

書きまとめていないが、今年も伊東産のツクシトビウオ、ホソトビウオを食べ、千葉県千倉港のツクシトビウオも食べた。

今年の話に限らなければ、トビウオ類はこのほかハマトビウオとアヤトビウオを食べたことはあるものの、これ以外のものは未だに出会えたことがなかった。

外は蒸し蒸しと活力を奪う気温の6月中頃。涼しい市場を歩いていると、鰭が広げられて並んでいる。

 

その中に気になる黒い羽のものがいる。

これはもしや!と息を飲み込む。

やっぱりそうだよなぁ。ともう一度仲卸の前を見に行く。

 

やっぱり錯覚ではなかったようだ。

1本だけで申し訳ない!と言いつつ購入。

家に着く前にも気になり袋の中で羽を広げる。

 

長いこと探していたトビウオだったのだ。

 

 

カラストビウオの特徴

今回の魚はカラストビウオ。

トビウオというと、主に流通する種の"つばさ"(胸鰭)は半透明のグレー色をしたものが多く、色付きのものは比較的珍しい。

その中でもこのカラストビウオは名前の通り、カラスの如く黒がかった翼を持ち、光を青く跳ね返す。

 

見分けの難しいトビウオ類の中でも、突出して特徴がひと目見て分かるので、流通上どこかで出会えるのではないかと考えていた。

しかし水産に携わり5年目ほどになってようやく、である。

 

有り難い事に羽を広げて飾ってもらっていたのでよその店でもひと目見てわかった。

流石に1尾1尾広げて見てはこれ下さいな。なんて事は出来ないので、今回は見て分かった1尾のみを、「これだけですんません。」といいながら買い、そそくさと退散する。

 

鰭は一様に黒い、というのではなく、角度によっては青く見える。

 

頬の色もどこか青く反射し、並のトビウオじゃないよと訴えでもしているかのようだ。

トビウオ科は総じて見た目が非常によく似ているが、よく観察すると一般的な種じゃないな?と違和感を感じられる。

身体もかなりずんぐりしている。

 

本種は、数いるトビウオの中でも鰭の色を見れば大体の種が絞り込めるため、今回のように鰭を見れる状況であれば見つけやすい。

 

この何とも言えない、息を飲むような青さに素敵♪となんど声を出した事か。

 

この色のまま額縁に飾れれば、何度そう思ったことか。

 

カラストビウオの料理

カラストビウオの刺身

まずは購入当日のお刺身から。

卸し方など通常のトビウオと同様。

むしろ本種やアヤトビウオなど、ずんぐりとした胴体で卸しやすい。

 

片身の半分ほどを使い、残り半分は握りにする。

これがトビウオとしてこれまで食べたことがなかった質感で面白かったのだ。

 

他のトビウオに比べて水分が少なく、肉も厚いのでムチッとした食感だ。

このもちもち感が面白い。

風味もいいのでこの蒸し暑さによく合う。

 

微かな酸味はトビウオらしいが、他の種に比べるとやや薄い気もする。

 

カラストビウオの握り

続いては握り。

 

勿論、これも美味い。

米と馴染むような柔らかさは無いが、風味豊かで実に心地がいい。

敢えてやや厚く切ったのも正解だった。

 

噛むと味に深みが出てくる。

この辺りは並のトビウオと同様に扱える。

 

カラストビウオの天ぷら

他のトビウオに比べてややボソつく。

生の身を食べれば想像付くような質感だ。

 

旨味はあるけれどやや薄いなど、ダツ類により一歩近い感じだ。

旨味も確かにあるが、このボソッとした質感を補うために天つゆを付けるといい。

タレを付けずに食べるならば沖縄風の天ぷら、フラッターなどの方が良いかも。

 

これならば、厚みのあるフライでも勿論うまい。

 

 

カラストビウオの評価

価格   ・・・☆☆

コスパ  ・☆☆☆☆

珍しさ  ・☆☆☆☆

味わい  ・・☆☆☆

 

価格

・他のトビウオ類と同じ。比較的安い魚である。しっかり見分けられている場合、正箱が作れず、食用からは外されてしまっている可能性がある。そういった意味でも流通上見つけるのが難しい魚である。

 

コスパ

・頭は小さく、身は厚いので歩留まりはいい。

 

珍しさ

・5年ほど、トビウオのシーズン中はひたすらに探し回っていた。流通上では少ないものと思われる。また、トビウオ類は近年では北は青森などからも入荷があるが、南方の産地の方が確率は高いと思う。

 

・味わいは他のトビウオ類と同様。特筆すべき点は身の食感、質感などである。他のトビウオにはない密度の高い、サクッとした食感がある。火を入れる場合は油を使うと良い。大型のダツのようだ。

 

今回は念願のカラストビウオをいただきました。

調理後も、何度も生鮮画像を見返して思わず惚れ惚れとしてしまう、美しい見た目の持ち主です。

今年はまだまだシーズンが続くトビウオ類。

次はニノジトビウオ辺りを観てみたいな。

 

ライター紹介

副管理人:夢海 未利用魚の有効活用方を探して、様々な魚種を食べて美味しく食べられる方法を研究しております。今まで550種以上の魚類を食べてきました。変わった魚の食べ方を中心に公開させて頂きます。どうぞよろしくお願いします! Twitter: @YUMEUMI27 ブログ: 夢海のまったり魚日記

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