姿を知らない魚② カラスガレイ

 

こんにちは、夢海です🐟️

 

四方を海に囲まれ、国内で水揚げされたもの以外でも冷凍輸入品も多数水産物を消費しています。

輸入品となると遠い海域で漁獲された魚が主流となり、商品名、料理名などで名前は聞いたことがあるものの元の姿が分からない。見たことがない。という方が殆どでしょう。

 

よっぽどの魚好きでなければこれは当然のことで、国内では基本的に流通しない。水揚げがあっても限定的。といった魚が当てはまります。

今回はそんな"姿を知らない魚"と題してカラスガレイを紹介していきます。

 

 

カラスガレイの特徴

今回の魚はカラスガレイ。

2024年12月に羅臼沖から上物が豊洲へと入荷してきた。

 

この魚は度々見かけることもあるものの、買う機会がなく、実は今回が初めての入手という事を購入後に知ります。

魚体はぶりぶりと肉の厚みが感じられるのに、脂でやわらかい体はぐでんぐでんと動きます。

さて、本種は冷凍輸入品のエンガワに使用され、大多数の方が知らずに食べている。という事が起こっているでしょう。

 

他にも身は煮つけや漬け魚などにも利用されるなど、知名度以上に使われている機会は多いような魚です。

 

裏面

この魚、目が非常に面白いところにあり、ほぼ頭頂部に片方の目が存在しています。

 

上面から見ると、片面に両目が存在していてカレイだなと分かるものの、体を起こして背から見るとまるで単眼の魚のように見えます。

 

歯はカレイ類にしては鋭く、近縁のアブラガレイの他にオヒョウにも似ている印象です。

 

包丁がスルスルっと入るほど、身は水っぽく柔らかい。

卸しやすいといえばそうなのかもしれません。

 

エンガワは太く、幅も頭から尾までほぼ均一。

同サイズのヒラメに比べると、太さもあり使い勝手の良いことが分かります。

 

 

カラスガレイの料理

カラスガレイの刺身

まず初日に刺身で。

 

脂で白く濁った身を切りつけ、縁側と共に並べます。

古くはまさかこんな魚を生で食べるだなんて、夢にも思わなかった事でしょう。

 

鮮度保持の技術や交通網の発達により、鮮度が保たれたままにやって来てくれるので、生で食べても問題のない鮮度感でやって来ます。

また、脂の多いような魚は敬遠されてきたと言う点もありますが、近年では好まれるようなネタなのでしょう。

個人的には脂がキツくて3切れも食べればお腹いっぱいかな。

 

北方のカレイらしく、一般に刺身として食されるマコガレイなどに比べると身はやわらかさが目立ちます。

脂はあるものの、素の味は淡々としており、やはり特徴的なうま味に欠ける。

 

残った切身は小皿にわけて炙る。

火が入り、脂が軽くなるだけでなく、旨味も増す。

断然、こっちのほうが美味いなぁ。と関心する。

 

 

カラスガレイの焼霜握り

続いては皮を炙った柵をつけてみました。

 

近年ではアブラガレイと併せて寿司ネタで使われるところを見る機会が増えたように思います。

これもまた炙ると、バチバチバチッと勢いよく弾けては、トレーに漏れ出た脂が水たまりを作ります。

 

常温でも溶けているかのような液状の脂なため、大変なことにシャリまでもが脂でテカテカとする程なので、柵を炙って冷ましてからつける方が良いのかもしれません。

せっかくなので炙りたての脂がまだ液体状のまま頂きます。

 

塩とレモンで味を引き締める。

柔らかく、シャリとの馴染みもいい。

ただカラスガレイそのものの味というのは少し弱い気がする。

 

脂の甘さという迫力はあるものの、面白みにやや欠けてしまうかな。

 

カラスガレイの煮付け

尾に近い部位を煮付けに。

 

立派な肝もここで使います。

生食では激しい味わいも、水を使って調理することで丸い味わいへと変わります。

 

おそらく本種の冷凍輸入品でも用途としてよく選ばれるであろうものがこの煮つけ。

問答無用で美味しいし、食べやすい美味しさになってくれている。

 

身だけでなく、皮も柔らかいので身離れが非常にいい。

身の脂が控えられて濃厚な風味を持つ肝が美味しく感じられる。

実際、脂を無視すると結構あっさりなのである。

 

カラスガレイの味噌煮

柔らかく煮崩れしやすいので極力触らず、火を止めてひと晩置き、さらに味を馴染ませる。

 

醤油で炊いても甘い脂の持ち主であるカラスガレイは、主役だ!という事を思わせてくれる味でしたが、こってりした味の魚なので味噌と調和した甘味が大変美味しい。

醤油も悪くはありませんが、味噌の方が好みかな。

 

カラスガレイの干物

脂は多いので単に塩をして焼いてもいいものの、今回は干してより身を引き締めてみた。

干したぐらいが丁度いい、とさえ思えてきます。

旨味は単調ではあるものの、この優秀な脂身と塩気はつまみもご飯の共にもなります。

 

 

カラスガレイの評価

価格   ・・☆☆☆

コスパ  ・・☆☆☆

珍しさ  ・・☆☆☆

味わい  ・☆☆☆☆

 

価格

・価格はピンからキリまで。大型の上物は比較的値がつく。今回の個体も値がついてもおかしくない良いものではあったが、良心的な価格であった。年末で需要が変動していた事もあるのだろう。

 

コスパ

・歩留まりは悪くない。柵取りする、骨ごと切身にする、など、色々と使える上に可食部は多い。

 

珍しさ

・冷凍輸入品は至って普通。みりん干しなどの加工品もスーパーで容易に買える。これが国産のチルド品、ラウンドとなると見られる機会はググっと下がる。市場などで探すのが早いものだと思う。

 

・多く利用されることもあり、脂が多く非常に美味ではあるが、強い脂かつ魚そのものの旨味はやや薄い。

 

今回は"姿を知らない魚"としてカラスガレイを紹介しました。

日々のおかずから、レストランで出るような少しいい一品まで、普段口にすることのある魚でも、遠い遠い海で漁獲され、幾つもの工場で姿を変えながら届けられて来る、なんて事は珍しくありません。

 

あのメニュー黒板に書いてある魚はなんだろう、この赤魚ってどんな魚なんだろう。

街行く多くの人はそんなもの気にしない知らない。なんて普段食べているものの元の姿を想像もしないのが当たり前となってしまっていますが、

"姿を知る"と、なんだか世界が広がり、翌日に忘れていてもひと時の"得した気分"を味わえるんじゃないかと思います。

 

ライター紹介

副管理人:夢海 未利用魚の有効活用方を探して、様々な魚種を食べて美味しく食べられる方法を研究しております。今まで550種以上の魚類を食べてきました。変わった魚の食べ方を中心に公開させて頂きます。どうぞよろしくお願いします! Twitter: @YUMEUMI27 ブログ: 夢海のまったり魚日記

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