ゴマフエダイは未来のスーパースター

 

こんにちは、夢海です🐟️

 

寒さ厳しくなってきた11月下旬。

いよいよ冬かね。なんて市場で挨拶をしながら歩いていた日。

自宅には色々寝かせている魚があったので、特段今日は買うつもりがなかったものの、気になりすぎるものがあり、仲卸さんの前を行ったり来たり往復してウロウロした結果購入してくることにしました。

 

 

ゴマフエダイの特徴

今回の魚はゴマフエダイ。

これがなんと珍しいことに活魚で入ってきていました。

産地は三重県産。

 

この魚は今年に入り一度だけ産地で〆られた3キロ近い個体を1度みたきりで、またあればいいな。なんて期待していたところでした。

この寒さから、秋ごろまで入荷が見られたゴマフエダイはもう揚がらないだろう。なんて諦めていたところ、水槽で横たわっている活魚を発見。

見ていると辛うじてエラブタは動いているので〆てもらい持ち帰りました。

 

持ち帰って早速仕込み。

久しぶりの活魚なので、当日に刺身で頂いてみることに。

光沢や目の輝きなど、活魚は鮮魚でやってきたものに比べ見た目が圧倒的に違う。

 

市場での買い物は、こういった活魚も選択肢に入れられるということ。

高い天然魚でなくたって、養殖マダイ・カンパチなども〆たばかりの高鮮度のものが手に入ります。

これをどう調理しようかなんてニタニタしながら帰る帰路もまた市場通いの醍醐味のひとつでしょう。

 

↑市場のプロが丁寧に素早く〆てくれるので一般の人でも安心して買い求められます。

 

持ち帰り、初めて扱う魚なので細部までしっかり撮影。

計測を終えていざ調理!

 

体高はそこそこありまずまず。

さてゴマフエダイの質はどうなんじゃと刃を入れて腹をめくると…

 

白子かと思ったものの、下に卵巣らしき小さくしぼんだオレンジ色のものがある。となるとメス個体であり、この白いものは総て内臓脂肪の塊ということになる。

鮮魚であれば腹を触ってこれは脂肪だな。なんてなんとなくわかるものの、まだ硬直前ということもあり今回のゴマフエダイからこの脂肪塊の気配は感じられていませんでした。

 

初めて食べるものは並のもので良いというのに、最初からとんでもないものを買ってきてしまったと嬉しさと、初めて食べるゴマフエダイがこんな上物で良いのだろうかという申し訳なさの2つが同時に押し寄せます。

そんなことを言いながらも、結果嬉しいものに変わりはないのでパパっとおろします。

 

開くとラウンドの状態以上に体高が感じられます。

 

そして背はエンガワが発達し、1尾から2貫ほどは取れるかな?といったサイズ感。

この希少性が高いものを飲食店で食べようと思っても、そうそう食べられるものではないでしょう。

刺身でしっかり堪能していきます。

 

 

ゴマフエダイの料理

ゴマフエダイのお造り

まずは刺身から。購入当日の晩御飯としました。

市場や産地が近いと朝〆たものを堪能できるという、近年の食卓ではある意味非日常的な体験となります。

 

血合いの色は鮮やか。表面を脂の層が覆い、やや霞む。

寝かせていないのに、〆た当日でも重みのある味がズシンと舌に乗り掛かります。

 

この噛み締めて広がる強い脂の香りが、飼料のにおいはないものの養殖の真鯛のような面影が感じられます。

内臓脂肪を見て身に期待はしましたが、ちょっと身にも脂が回りすぎているように思えます。

今回は活魚であった為どれほどの期間活かされていたのか等も分からないイレギュラーなものなので、次回より詳細の分かる個体に出会えた時に期待しましょう。

 

↑エンガワ。同サイズのヒラメと同じほどの量が取れるが、多くはない。

エンガワも申し分ない美味さ。脂は他の魚同様に強く、ポン酢などであっさり食べるとよい。

 

ゴマフエダイの塩鍋

これも購入当日に刺身と共にいただきます。

鮮度の良さなのかアクも少なく、汁が澄んだ状態で仕上がります。

これを簡単な野菜などと塩で味を調えた鍋で頂きます。

 

ゴマフエダイは硬く締まらず、柔らかい食感のあとに素直な旨味が大群で押し寄せて来て、ハッと気付くとその旨さに飲み込まれます。

このクセがないのに個性的というか、繊細なのにガッツがある、大型のフエダイらしい旨味が存分に楽しめます。

 

そして何よりも厚みのある皮が美味い!

火が入りトロンっと蕩けるような非常に柔らかい、角煮でも食べているのか!とも思える。

 

その皮下から感じ取れる脂の香りが身と混じると、なんて贅沢なんだと思えるほど立派な美味しさとなります。

この旨味はフエダイの割に血合いが大きいのが関係しているのかもしれません。

ゴマフエダイの皮は取り除かず一緒に食べたいものです。

 

ゴマフエダイの塩焼き

ゴマフエダイの腹の身を使用。

 

あばら骨を残した状態で、皮に引っ張られて伸びないよう鉄串を刺して焼き上げる。

強い脂のせいでコンロからはバチバチバチと激しい音が聞こえてきます。

焦げないように見ておき、頃合いを見て取り出す。

 

はじかみや柑橘などはお好みで添えて完成です。

色がややくすんだ赤で、ここに焦げ目がつき高級感ある見た目で非常に美味しそうに見えます。

 

これがなんとも味が非常にいい。

腹カミの脂は間違いなく濃い部位だと言うのに、しつこさがなく、特に焼きたての舌をサラサラ流れ去る、まとわりつかない甘旨い味の脂が沁みてきます。

身そのものはしっとりと、優しい反発があります。

 

密度はそれほど高くないのにしっかりしており、豪華なおかずになります。

柑橘との相性がすこぶるよく、品がありながらも野性味のある味覚は多くの人に好まれるでしょう。

 

ゴマフエダイの酒蒸し

ゴマフエダイは腹側の尾に近いところを切り分け、切れ込みを入れておく。

昆布と酒、水を入れた鍋に蒸し器を置いてゴマフエダイを並べて蒸す。

その間にかけダレを作っておく。

 

今回のタレはポン酢や柚子胡椒など和風で整えました。

蒸すことで容易に箸でほぐせるほど柔らかい仕上がりになり、脂が程よく落ちてゴマフエダイの本来の味姿が見えてきた気がした。

味つけに打たれ強いようなブレのない美味さで、さらに柚子胡椒がここに加わるとでまとまり感が出ます。

 

今回の部位は脂が薄いところですが、脂がなくとも質が非常によく、この先水揚げ量が増え安定してきたら間違いなく値のつく魚になることでしょう。

 

 

ゴマフエダイの評価

価格   ・☆☆☆☆

コスパ  ・・☆☆☆

珍しさ  ・・☆☆☆

味わい  ☆☆☆☆☆

 

価格

・近年見かけるようになった魚。大型で味が良く、単価はやや高値安定。

 

コスパ

・大型であり歩留まりは悪くない。しかし単価は安い魚ではないので、気軽に扱えるものではない。日持ちするので数日に渡って刺身を楽しむことができる。

 

珍しさ

・近年見かけるようになったとはいえ、ネット通販や産地での水揚げ情報等で。市場では今回の個体が2度目。まだシブダイ(フエダイ科フエダイ)の方が流通量が多いものの、南方種である本種は今後増えていくのではないかと予想。安定した高級ネタになるものだと思われる。

 

・非常に美味。刺身はもちろんのこと、加熱法を問わず様々な料理に適する。色味も赤いので和食だけでなく中華等でも扱いやすいであろう。琉球列島や九洲南部など、南方に生息する大型魚が本州で揚がると非常に脂乗りが良く全くの別物だと感じることもある。本種もその一つだと考える。

 

今回は初食べのゴマフエダイについて書いてみました。

初めて食べるものなのに、最初から活魚を堪能するというなんとも贅沢な経験ができました。

さて、ゴマフエダイは水族館を巡ったり、魚をあれこれ食べるようになった2017年の頃から、遠征先の水族館でよく出会ってはその渋カッコいい姿を頻繁に目に焼き付けるなんてことをしていた思い出のある魚です。

 

近年の海況や水産物をみていても、今後もゴマフエダイが南の海から流れ着いて増えるのかなと予想されます。

大型の魚なので歩留まりもいいし日持ちもするため高級寿司店なんかで好まれそうです。

正に、ゴマフエダイは未来のスーパースター。今はまだスターの玉子です。

 

ライター紹介

副管理人:夢海 未利用魚の有効活用方を探して、様々な魚種を食べて美味しく食べられる方法を研究しております。今まで550種以上の魚類を食べてきました。変わった魚の食べ方を中心に公開させて頂きます。どうぞよろしくお願いします! Twitter: @YUMEUMI27 ブログ: 夢海のまったり魚日記

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