尾鰭の赤いアジは美味すぎ注意!オアカムロ
こんにちは!夢海です🐟️
相変わらず魚ライフな毎日を送っております。
連日いい魚が手に入る秋になり、毎日魚食という日々が続いてるある日、市場にとある魚が入荷するという情報が。
「おお、珍しい。」
そんな事をぼやきながら早くも買う前提でどう調理しようか。なんて考えていました。
情報ではなかなかに安く、キロ当たり500円もしないほど。
ものは果たしていいのか悪いのか。
ドキドキしながら到着する翌日を待ちました。
目次
オアカムロの特徴
今日の主役はオアカムロという魚。
魚好きであれば、名前を聞いたことがあるという方もいるのではないでしょうか。
マイナーだけどマイナー過ぎない。産地の近くに住む方からしたら、姿を見せれば「ああ、これね。」なんて反応もありそうです。
というのもこの魚、今回のように豊洲などの大きな市場に入ることは珍しいです。
一方で産地ではまとまって漁獲される魚でもあるため、スーパーなどに並ぶことも。
飲食店でも見かけることが出来て、2年ほど前に沼津の回転寿司で食べた記憶もあります。
なぜ市場へやってこないのかと言うと、何よりも鮮度の落ちが非常に早い。
まとまった漁獲があるのに、ものが保たなければ送るに送れません。
それ故に安価な魚なのです。
しかし今回のオアカムロ、これは過去一レベルに上物です。
まず鮮度はクリア。腹はやや柔らかいものの、水揚げは2日前あたりといったところ。
この緩さは純粋に内容物の少なさなので溶けてはいなさそうです。
鰓も彩紅色。
取り寄せて良かった。
そして驚いたのがその大きさ。
なんと600グラムに迫るほどのビッグサイズ!
これまで見てきたものは300~400グラムほど。大きくても500グラムあるかなといった大きさ。
産地は沼津や小田原のものを見かけますが、今回のものは三重県産。
三重の魚は大きいものが多い印象です。
細かく観察していきましょう!
アジ科の魚ということで、顔つきはアジらしい見た目。
しかし一般的に見るマアジに比べるとやや面長ですね。
オアカムロは、ムロアジ属に分類される、ムロアジの仲間。少し前に紹介したマルアジもムロアジ属なので、マアジよりもマルアジなどに近い種類です。
↑口が伸びて小エビやプランクトン、小魚などを捕食する。
オアカムロを漢字で書くと「尾赤室鯵」
尾鰭が赤いことが由来です。
しかしこのオアカムロ、尾鰭だけでなく全体的に鰭がやや赤いのも特徴。
でもやっぱり尾鰭が一番赤く目立ちますね!
魚体も青かったり、緑色の光沢を放ち輝きます。
そして毎度言ってるムロアジの特徴!
小さく離れた鰭で「小離鰭(しょうりき)」!!
いつも読んで下さる皆さんはそろそろ覚えて頂きましたか?笑
マアジにはこの鰭がなく、ムロアジ属の魚は小離鰭が備わります。
アジ科の中でも見た目が似るマアジ属、マルアジ属ですがここを見ればバッチリです!
オアカムロの捌き方
それでは調理して参りましょう。
1尾は丸ごと贅沢にあるものに加工。
1尾はお腹も空いているのでパッと作り食べてしまいましょう。
内蔵脂肪があり肝も発達!
内蔵脂肪のない通常の個体でも脂のりがいい魚なのでこれは期待出来るぞ!!
それでは3枚に~…
あああ💦打ち身してる。
正確には骨折です。
水揚げ最中などに背骨が折れてしまい、内出血のような状態に。
見た目は鱗も付いていて外傷が目立たなかったため気づきませんでした。
↑ちなみにもう1尾は干物用に仕込んだあとの話。
ただ決して食べられないという訳ではなく、この付近の血が付いた身の部分を取り除けば何の問題もありません。
生食用に皮を引くとこんな風に脂がしっかりと♪
これを炙って食べるのもまた美味い食べ方。オアカムロは本当に美味しい魚なのです。
オアカムロの料理
オアカムロフライ
まずはフライから。
打ち身していた個体の尾鰭に近いほうを半分に割ったものをフライにしました。
これで、この大きさで4分の1ですよ!丸ごと1尾をフライにしてみようかとも考えましたが、2尾しかいないため今回は我慢。
丸ごと1尾フライにしたら大皿でもはみ出てしまいそうですね(笑)
いつかやってみるとして…
さて、フライに話を戻しましょう。
マルアジの時にもお話しましたが、アジフライに向くのはマアジ属よりもマルアジ属のアジなんじゃないかと思います。
このムロアジの仲間は身が丸くなり、身に厚みがあります。
当然このオアカムロも肉厚でふっくら食べ応えのあるフライになります。
そしてオアカムロは水分が多く血の気の多い魚。そのよう特徴の魚は腐りやすいもの。
しかし旨味が詰まっているのはこの血合い部分。
水分がほどほどに含まれる魚は揚げでも硬くなりすぎずジューシーさが残ります。
これは市販のアジフライより美味しいぞ。笑
一度食べてみて欲しい魚で5本の指には入ってくる魚です。
オアカムロの握り
続いてはお寿司!
生のオアカムロは口へ入れた途端に広がる赤身のような酸味、そこから青魚の旨味へとだんだん変化していき、最終的には脂で溶けて消えてゆくというなんとも面白い味わいの魚なのです!
赤身らしい味わいでも最終的には青魚の味へと変化するので、山葵よりも生姜がよく合います。
お刺身でも美味しい魚なのですが…寿司が合う!
身は柔らかいので酢飯によく合うし、味の濃い魚なので寿司にしたときのバランスがちょうどいいです。
そして何よりも見た目が美しいのです。
身は鮮やかに赤く、青魚らしい銀皮も残るし、皮目に脂の層が出来て見るだけでお腹が空いてきてしまいます。
獲れる場所では寿司でも食べられるので、見かけた際は是非食べてほしいです!
オアカムロの塩焼き
骨が付いたままの半身に塩が染み込むよう包丁を入れただけの手間でこんなにも美味い魚がいるものなのですね。
赤身に近い魚は加熱するとどうしてもパサついてしまいます。
しかしこのオアカムロ、それを補うように資質が多く、水分も含むためジューシーに焼きあがります。
筋肉質なため、身は硬くなりやや身離れはよろしくないですが、旨味のガツンとくる魚で飽きる前に食べきってしまうような美味さです。
オアカムロの干物
締めは干物で!
これこそ一番美味いんじゃないか。獲れる地域ではブランド化してもいいんじゃないか。
そんな事を考えてしまいました。
塩分濃度8%の塩水に45分間漬け込み、これをふた晩じっくり冷蔵庫で冷風に当てて干していきます。
表面がしっとりしてきたところで焦げないようじっくり8分コンロで焼き上げました。
とにかくデカい!マアジどころかホッケでもこんなに大きい干物はなかなか無いんじゃないかな。
焼き色もきれいに入り、空腹のまま調理していたこともありここで限界。
すぐさま箸を用意しかじりつきました。
「これはうまい…!」
本当に美味しさで泣いてしまいそうになりました。
マアジの干物とも違う…この美味しさは何だろう。
サイズが大きいからインパクトがあり、それでいて大味になっていない。
塩焼き同様に身はパサパサせず、味を薄めてしまう水分がないためそれ以上に旨味が感じられます。
筋肉にまとまりが出来て、こちらは身離れ良好。
漁獲の安定性などを無視すれば地域の特産品として扱えるポテンシャルを秘めていると思います。
オアカムロの評価
価格 ・・・☆☆
コスパ ・☆☆☆☆
珍しさ ・・☆☆☆
味わい ・☆☆☆☆
価格
・基本安価なもの。金額よりも入荷量の少なさに頭を抱えさせられそうだ。
コスパ
・身がふっくらしており、歩留まりはよい。
珍しさ
・全く見つからないものではないが、かなりスポット的な存在。入荷したかと思えばその状況は続かず、あっという間にいなくなってしまう。
味
・非常に美味い。鮮度が良ければ刺身で。フライや干物でも硬くなり過ぎずパサつかない。
今回は尾鰭の赤いムロアジの仲間、オアカムロを紹介しました。
この魚を見かけたら一度食べるべし!(しかしひとたび食べてしまえば虜になるので要注意)
勤めている鮮魚店で出してみたのですが、知名度の低い中、オススメの食べ方を教えたところかなりの数売れてくれました。
魚好きとしてこれほど嬉しい事はありません。
色々な魚種を食べ、“引き出し“を増やしておいた甲斐がありました。
これからもこちらのブログで美味しい食べ方を広めつつ、魚食の普及を目指していければと思います!
副管理人:夢海 未利用魚の有効活用方を探して、様々な魚種を食べて美味しく食べられる方法を研究しております。今まで550種以上の魚類を食べてきました。変わった魚の食べ方を中心に公開させて頂きます。どうぞよろしくお願いします! Twitter: @YUMEUMI27 ブログ: 夢海のまったり魚日記
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