海の人気者マンボウを丸ごと仕入れて捌いてみた!
こんにちは!夢海です🐟️
夏の暑さも後少し(と思いたい)な今日この頃。
暑さも吹っ飛ぶようなインパクト抜群の魚をご用意致しました!
目次
マンボウの形態
可愛く2匹揃ってまな板の上で待ってくれています♪
なかなか衝撃的な写真ではないでしょうか(笑)
まな板の上に乗っかるほどの小さめなサイズにも驚き、多くの方からは食べられるの!?といった驚きの声もありました。
実はマンボウ、地域によっては盛んに食べられており、中でも腸は珍味としても扱われています。
今回の個体は宮城県気仙沼産、大きさは共に1キロ前後で、全長32センチ、全高43センチと、横よりも縦の方が長いのです!
実は過去にも捌いた事があり、その時の個体は3キロと、今回のマンボウよりも2回りも大きな個体でした。
当時はまだ標本も作ったことがなく、初心者にはかなり難易度が高い魚でもある為、現在手元に残っているのは歯のみ。
今回は全身骨格標本のリベンジも兼ねて、美味しく頂ければと思います!
↑琵琶湖産の湖魚やヨメヒメジと並べてみた。本来顔合わせしない魚を並べてみるのもまた面白い。
それでは観察していきましょう!
水族館では比較的みる機会のあるマンボウですが、手に取って見る機会というのはなかなか少ないので魅力を皆様にお伝え出来ればと思います!
まずは口元。おちょぼ口でとても小さな口ですが、頑丈な歯があるので迂闊に手を入れてしまっては大怪我をします。
↑こちらが前回標本として残した3キロ個体の歯になります。フグ目に分類されていて、歯の構造はフグにとてもよく似ています。
続いては胸鰭。回遊魚は水の抵抗を減らす為に鰭を収納するポケットがありますが、マンボウにも似たような窪みを確認しました。
運搬途中に変形して、鰭の跡が残ってしまった可能性もあるので”必ずそうだ”とは言い難いですが面白い発見だと思います。
続いては尾鰭…と言いたいところですがこれは舵鰭と呼ばれる鰭。背鰭や臀鰭が変化したもので、泳ぐときは尾鰭のように動かすのではなく、方向転換に使う舵の役割をしています。
お腹と背中の外縁は小さな突起が並んでいます。
↑ちなみに、マンボウには腹鰭がありません。
全体的にザラザラなさわり心地です。
同じサイズ(重量)のシュモクザメのサメ肌にも負けないくらいのザラザラ感です。
マンボウといえば”最弱説”というものが時たま語られますよね。
実際、めちゃめちゃ弱いという事実はありませんが、それでもこの骨格を見ると不安になってしまう気持ちはわかります笑
マンボウの裁き方・調理
1匹を骨格処理し、並べてみました。
肋骨もなく、お腹は内蔵が剥き出しな状態。
皮はとても剥がし易いのでパカッと開けるとこんな構造をしています。
背骨に沿って筋肉の境目があり、それぞれ背鰭と臀鰭を動かす筋肉が詰まっています。
胸鰭すぐ横の綺麗な肌色をしているのが肝。これもまた美味しい珍味のひとつです。
その肝の下に目を落としてやると渦巻き状の長~い腸が目に止まります。マンボウは胃袋を持たない為、腸が長く発達しました。マンボウの腸もまた、マンチョウなどと呼ばれ親しまれている珍味です。
こちらは1匹から取れた身です。大体400グラム。これ+肝や腸もくっ付いてくるので歩留まりはそこそこ良さげ。
こちらをしっかり脱水しながら使っていきます。マンボウはとにかく水分が多いです。
一口大にカットしていき、軽くボイルしていきます。
肝はすりつぶしながら炒めて、そこに腸や身を入れて食べたいと思います。
↑これがマンボウの腸。全長のおよそ4倍(約155cm)あります。
中身の汚れを落とすために開きながら包丁でこすり落とします。
準備が出来たら先ほどボイルした身を用意して炒めていきます。
見た目は鶏肉そのもの。
ごま油を敷いたフライパンに肝を入れて潰しながら炒めます。
ここへ切り身や腸を投入して味噌や野菜で味を整えれば完成!レビューはまた後ほど。
他にもカレーパウダーを使ったムニエルをたっぷりのバターで炒めてみたり…
ボイルした身を天ぷらにしてみました!
それでは頂きましょう!
マンボウの料理
マンボウのネギ味噌炒め
まずはこちらから!肝の旨味もたっぷり入っております。塩胡椒を効かせて少しピリ辛に味付け。
これがなんとも美味い!
肝の風味も感じられ、腸と身で食感の違いも楽しめる、マンボウを食べ尽くすには最高の一品!
味噌とネギとの相性もよく、ご飯にのせてあっという間に食べきってしまいました。
身だけでなく腸と肝も同時に手に入ったら試してほしい一品です。
マンボウの天ぷら
軽くボイルして水分を抜いたものを揚げました。
鶏肉のようなコリッコリッとした繊維がとても美味しいです。臭みがなく、タンパクながらも旨味が感じられ塩で頂くとより際だちます。
かしわの天ぷらの代わりともなりそうなお肉感、切り身を見かけたら是非お試し下さい!
マンボウのカレームニエル
最後はカレーのムニエル
見た目はクリスマスなんかに食卓に並ぶチキンのようですね🍗
これもまた噛み切れる程度の繊維がいい食感となり旨味がじゅわ~っと溢れてきます。
ただ肉の脂のような濃い旨味ではないのでやや物足りなさも…。
それでも魚とは思えない、魚が苦手な方にも食べて頂けるような魚でした。
↑繊維がよくわかります。加熱すれば鶏肉、生で食べるとホタテに似てるとも。
おまけ(マンボウのお刺身)
これは3年前に調理(?)したマンボウのお刺身。
朝獲れの新鮮なものを、ボイルもせずに食べました。
水っぽく美味しくなかったです…
おまけ2(室戸で食べたマンボウの天ぷら定食)
高知県室戸に訪れた際に頂いたマンボウの天ぷら定食。
今回私が頂いたものは鶏肉のようでしたが、こちらはイカ天のような食感でした。
大きさによって肉質が変わるのかも知れません。
マンボウの評価
価格 ・・・☆☆
コスパ ・・☆☆☆
珍しさ ・☆☆☆☆
味わい ・☆☆☆☆
価格は普通。今回は市場などを通してお魚屋さんに届いたものなのでやや割高でしたが、大体キロあたり¥1000ほど。切り身になるとより安いと思います。
続いてはコスパ。これが腸や肝を含むとそこそこ可食部が取れるといった感じ。あくまで丸ごとの場合で、肝や切り身がセットになったパックなんかもたまに見かけるので、純粋にマンボウを食べてみたい!という方には歩留まりはあまり関係ないですね😅
珍しさは☆5つといきたいところですが、切り身では出回るし食べる地域にいけば見かけるくらいなので、切り身としては☆3、丸ごと探すのであれば☆5といったレアリティです。
味わいは魚の中では唯一無二な存在だと思います。
安価で美味しく調理出来きて、絶品!というより程々に美味いといった立ち位置だと思います。
今回は海の人気者、マンボウを丸ごと仕入れて調理してみました!
なかなか見ることの出来ない魚が来るとワクワクドキドキします✨
今年はこのサイズが気仙沼の方でポツポツ水揚げされているのを見かけたので、夏場にまとまって獲れやすいのかも知れません。
歪んでしまったりと骨格標本にするには難易度が高いですが、解剖自体は難しくなく、寄生虫も多種潜んでいるので自由研究なんかにオススメです♪
見かけたら買いですよ!
それではまたお会いしましょう!
本記事は、サテライトライターさんの記事になります。
サテライトライター:夢海 未利用魚の有効活用方を探して、様々な魚種を食べて美味しく食べられる方法を研究しております。今まで400種以上の魚類を食べてきました。変わった魚の食べ方を中心に公開させて頂きます。どうぞよろしくお願いします! Twitter: @YUMEUMI27 ブログ: 夢海のまったり魚日記
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