幻の古代魚、チョウザメを食べてみた

こんにちは!夢海です。

今回は世界三大珍味の一つ、キャビアの親”チョウザメ”のご紹介です!

 

 

シベリアチョウザメの形態

今回のチョウザメはシベリアチョウザメという種類。宮崎県日南で養殖されている食用として育てられた個体です。

 

あの有名なキャビア、実は養殖ものが殆どで雌は成熟するまで長いこと育てられます。

 

卵を持たない雄はどうなるか…、種類によってはペット用に卸されたり実は美味しい魚なので今回のように食用に出回ります。

全長92センチ、重さは内蔵を抜いて血抜きをした状態で2,8キロありました。

 

↑台所に置くと少し窮屈そう。

 

水族館でも展示している施設はそこそこありますがじっくり見る機会も少ないので細部までしっかり観察していきます。

 

まずは頭。シュッと尖った鼻先に口元の髭が特徴的です。

チョウザメはサメと付きますがサメではありません。そのため鰓は一対。(一般的なサメの仲間は5対あります。)

サメは軟骨魚類に分類されますが、チョウザメは硬骨魚の仲間。しかし体の殆どを軟骨で形成します。

 

↑鰓は剥き出しに。退化してしまっていますが、サメの持つ鰓孔(さいこう)と呼ばれるものと硬骨魚のもつ鰓蓋を兼ね備えています。

実はこのチョウザメ、2億年以上前から存在していたと言われており、現存する多くの硬骨魚類が属する条鰭類と呼ばれるグループの中でも原始的な魚です。

 

胸鰭は養殖個体のため残念ながら丸まってしまっています。

 

↑チョウザメといえば特徴的なウロコの配列。綺麗に並び美しいです。

 

飼育密度の影響なのか気になるところです。

 

臀鰭、背鰭は曲がらず普通。やはりサメらしい形状をしています。

 

尾鰭もまた上葉が長く、硬骨魚類では珍しい上下非対称の形をしています。

 

これは料理で使えそうだな…🤔

 

続いては口元。サメと付きますがサメの仲間ではなく、姿はそっくりなものの、チョウザメには歯がありません。

 

髭がセンサーの役割をしていて、センサーにかかった獲物を口で吸い込むといった捕食方法をしています。

 

水族館などで観察していると、水底の石や砂ごと吸い込みパクパクして餌だけを吸い込む様子を観察出来ます。

 

観察はこんなところで、それでは捌いていきましょう。

 

 

チョウザメのさばき方・調理

内蔵は抜かれてきれいに掃除されているので、頭を落としたらそのまま三枚に開きます。

下処理されているとゴミも出ずに楽ですね。

 

一本丸々っと三枚に開きました。(半分くらいに切り分けて捌いた方が絶対楽です。)

 

皮は鱗が埋没しており、また標本にもしたいので全て皮を引いて使用します。

 

↑特徴的な血合いの入り方をしています。色もとても鮮やか。

 

これを加熱調理用に切り身状にカット。

 

あとは煮たり焼いたり自由に使い分けられます。

 

とりあえずこんな風に焼いてみたりとアレンジもしやすいので切り身にしておけば後々楽です。

 

 

シベリアチョウザメの料理

シベリアチョウザメのお造り

まずは迫力満点!お造りから。

 

このエイリアンのような顔が食欲をそそり(?)ます。

 

気になる身の方はというと…

 

やはり血合いの色が美しい!!

脂もとてものっています。

 

ここは素直にわさび醤油で頂きます。

 

「あ、これはブリだ。」

 

”チョウザメの味”と調べるとハマチににているという感想をよく見かけましたが、これは確かにハマチに似ている…!

天然個体(捕獲も推奨出来ません)だとここまで脂はのらないだろうな。養殖だからこその脂に感じます。

しかしこれがハマチらしさを際だたせており、魚らしい旨味が詰まっています。

 

これはとても美味しいぞ…!

チョウザメといえばキャビアですが、キャビアだけではなく身も美味いんだぞ!と話題作りにもなりそうです。

 

シベリアチョウザメの煮付け

続いては切り身を煮付けにしてみました。

 

これもまたうまい!

 

固くならず、ふんわり食感で醤油ベースの煮汁としっかりマッチ。固く締まらないというのが嬉しいポイントです。

味は魚らしい旨味。脂の感じなんかはやはりブリに近いのかな。

ブリの腹の身を食べている、そんな感覚になります。

 

シベリアチョウザメの握り

お次はこれまた珍しいチョウザメの握り。

 

これが爆発的な旨さ!ブリらしいお刺身を食べた時点で勝ちを確信していました。

 

完全に溶けてなくなる、というよりは少し舌の上で転がしながら消えてゆくのを堪能できるといったイメージ。ゆっくり味わえる魚です。

刺身を試食したあとに握りにしてみると冷静に捉えられる事が出来て、この握りはブリに近いとは思いませんでした。

 

味で言えばハマチそっくりなのですが、握りにすることで身の質感が違うことに気がつきました。

ハマチは噛まなくともとは言いませんが、それほど咀嚼しなくとも溶けていきます。

一方でチョウザメは皮に近いところなどに食感があり、少し噛まなければなかなか溶けるということはありません。

 

少し筋が残るのが残念かなぁ。

 

続いては握りを炙ってみました。

 

加熱することで筋を柔らかくして口に残らなくなります。

塩を振りバーナーで炙ったらレモンの果汁を搾ります。

香ばしい香りが広がり食欲をそそります。

 

強い脂も炙ることでマイルドになり、より食べやすくなりました。

そして筋も柔らかくなり、とろける食感。大変美味です。

 

シベリアチョウザメの蒲焼き丼

お次は蒲焼きを丼に!

山椒を振り掛けると香りはうなぎと遜色ありません。気になる味の方はどうでしょう。

 

川魚らしい香りがあり、これが蒲焼きとしての旨さを引き立たせています。

柔らかい身で表面はカリカリ、中身はふんわり仕上がり、脂のジューシーさも感じられます。

うなぎの代用にも適しているレベルだと思います。

 

炭火で焼いてみたり、カットの厚み、皮の有無を工夫すればより近づける事が出来る可能性はあります。

チョウザメのポテンシャルの高さを思い知らされました。

 

 

シベリアチョウザメの評価

価格   ・☆☆☆☆

コスパ  ・・☆☆☆

珍しさ  ・・☆☆☆

味わい  ☆☆☆☆☆

 

価格は養殖個体を丸ごと1匹購入したのでややお高め。

しかし1匹あたりが大きいことと、大切に育てられた個体なので安いくらいだと思います。

 

コスパはまずまず。

背骨は軟骨なのでフードプロセッサーで細かく砕いて肉と混ぜ合わせてつくね風にも出来そうです。

ロシアでは頭を使ったスープなんかもあるのだとか。使い方次第で無限大の可能性があるように思えます。

 

珍しさは、天然物は捕獲が不可能の為まず手に入らないです。

養殖は各地で行われているので、問い合わせて購入してみるといいでしょう。

食材として身近にあるものではありませんが、取り寄せはし易いと思います。

 

味わいは文句なしの☆5つ。

大切に育てられた丸々肥った個体のため美味しいこと間違いなし!

お刺身はもちろん、加熱調理はどんなものでも美味しくなります。

 

今回はシベリアチョウザメと呼ばれる古代魚、チョウザメを食べてみました!

人の勝手な都合で乱獲されてしまい、過去には日本含め広い範囲で生息していたチョウザメも、今では世界的に減少して絶滅の危機に瀕しています。

"養殖された魚だから大丈夫"というのではなく、何故養殖するようになったのかという所にも注目してみるとより有り難みが感じられると思います。

 

 

本記事は、サテライトライターさんの記事になります。

ライター紹介

サテライトライター:夢海 未利用魚の有効活用方を探して、様々な魚種を食べて美味しく食べられる方法を研究しております。今まで400種以上の魚類を食べてきました。変わった魚の食べ方を中心に公開させて頂きます。どうぞよろしくお願いします! Twitter: @YUMEUMI27 ブログ: 夢海のまったり魚日記

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