久しぶりのナメタガレイに想う海のコト
こんにちは、夢海です🐟️
気がつけば師走という文字通り忙しいと感じる日々がやってきた。
秋だなぁ、なんて考えていたらもう年末。
季節が短くなるということは、気持ち的にも狂いそうになってくる。
さて、そんな忙しい中で良いものを見つけてしまう。
青森から、ゴツゴツと荒い下氷に並べられた白くのぺっとした姿が見える。
12月も中ごろになり、そういえばチラホラ見るようになったなと、改めて思い出す。
決して安い魚ではないものの、大きさも程々なため、値段も控えめ。
久しぶりの出会いにカンパイ。という気持ちで1枚買って帰る。
目次
ババガレイの特徴
今回の魚はババガレイ。


カレイにしては菱形というより楕円のような、水玉のような、ノッペリした体型をしている。

顔はタラコ唇が目立ち、なんともキューティーだ。
さて、ババガレイといっても、通じる人は少ないのだろうと思う。
もっぱら、関東では"ナメタ"や"ナメタ鰈"と呼ばれるものであり、標準和名よりも、流通名が大きいといった魚の一つである。
ただ気になるのが、北海道の荷主で、箱に"母々鰈"と書いてある荷を見ることもある。
北海道など産地ではどのように呼ばれているのか、興味がわいてくる。
これは次回の北海道で探してみることにする。
本記事内では以後ババガレイに統一して話していく。
決して標準和名主義者というわけではなく、他のものでも基本的に標準和名で呼称しているためである。
タイトルに釣られてやってきた方がいればゴメンナサイ。
それでは調理に入る。
頭を落とし、ぶつ切りにしていくと、卵はまだ未成熟で小さいことが分かる。
外見から雄かなと思っていたのだが、どうやら無選別らしい。
今年はババガレイに限らず、全体的に海産物の旬が2テンポほど遅く感じられる。
もし仮に、このまま卵巣が発達する前に水温が再び上がってしまうとどうなるだろう。なんて懸念が少し頭をよぎる。
早くしっかり海が冷えて欲しいと願うばかりだ。
ただ上物は既に入ってきており、肉厚な身と鮮やかな卵で人々を魅了している。
本体の身は少し痩せているものの、種全体としては遅れている訳では無さそうである。
肝はまずまず。
これから卵巣が膨れてくる時期ということを考えると、身が少し薄っぺらいように思える。
青森県もホタテ稚貝の斃死などが多発していた。
やはり海水温上昇で餌が不足しているのだろうか、なんてことも思えてくる。
ババガレイ1尾を見ても、ひしひしと危機感を覚えてしまう。
杞憂ならば良いと願うばかり。
ババガレイの料理
ババガレイの煮付け
気を取り直し、
ババガレイは頭と尾を落とし、適当な大きさに切り分ける。
頭に一番近い部位を、卵巣ごと切り分けて使う。
ババガレイは卵があれば価値がグンと上がるものだが、個人的にはこの肉もまた他のものにはない、唯一無二の美味さと思っている。

煮付けはひと晩、汁を吸わせるために寝かせたりするのだが、今回はおかずが無かったのと、あまりに美味そうなのでそのままおかずになった。
箸が皮を割ると、その次には新雪のような柔らかくふわっとしたものを掴んでくる。
これを口に運ぶと、あまりの美味しさにウットリ。
味がないわけじゃないのに上品で、それでも辛い煮汁の中でも味が隠れていない。絶妙な味わいである。
数年ぶりにちゃんと食べたババガレイの味に、思わず「これは毎年食べないとなー。」
ババガレイの割下鍋
ババガレイを使い鍋を作るという、一度試したかったものがここで実現する。
切身にしてみると、鮮やかな卵が顔をのぞかせる。
これに軽く湯がけをし、ヌメリなどを落とす。

具材はシンプル。
白菜を敷き詰めて柚子を散らし、仕上げに三つ葉を添えるのみ。
割下のスープを作り、昆布だしの汁で具材を煮立ててから味をつけていく。
煮付けとは違う旨さがあり、十分に美味いものの、少々物足りない。
やはりこの魚は煮て食べたいよなぁ。と思ふのだ。
言い方は失礼だが、残念なことに、今回の個体の大部分を鍋にしてしまった。
これはシーズン内に、調査と言い訳をして買うしか無かろうとも思ふ。
ババガレイの評価
価格 ・・☆☆☆
コスパ ・・☆☆☆
珍しさ ・・・☆☆
味わい ☆☆☆☆☆
価格
・大型のものなど、高級品そのものだが小型であれば比較的安い。これは煮付けなどを家庭で作る人が減っているということも関係あるのではないのだろうか、と思う。
コスパ
・体高があり、鰭の面は少なく頭も小さい。煮付けならば非常に歩留まりがいい。
珍しさ
・珍しくはないが、冬〜春の味覚となる。子を持つ時期に流通量も増える。
味
・非常に美味。煮魚では上品さの中の濃い旨味というものが際立つ。
今回は久しぶりのババガレイを頂いた。
ちょっぴり、タイトルを意味深にしてみたのも、海がどうも、やっぱり変だという話を書きたかったからである。
無論、専門家でなければ、気象が分かる人間でもない。
ただの1、水産従業者なのだが、海の季節が狂い始めていることをひしひしと感じ取っている。
これは生産者さんなんかだと、より強くそう思っているのではないか。
一般素人の私には見守るという選択肢他ないのだが、見ているだけでは長くは保たないのでは、とも危機感が募る。
副管理人:夢海 未利用魚の有効活用方を探して、様々な魚種を食べて美味しく食べられる方法を研究しております。今まで550種以上の魚類を食べてきました。変わった魚の食べ方を中心に公開させて頂きます。どうぞよろしくお願いします! Twitter: @YUMEUMI27 ブログ: 夢海のまったり魚日記


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