まさか、まさかのエビスシイラ

こんにちは、夢海です🐟️

 

今回の魚は、久しぶりに長い事探していたもの。

10月最終週、話題になっていた魚を一目見る為に、大洗へ向かった。

 

本当はもう1週間、早く訪れるところであったが、天候がよろしくなく遅らせる事となった。

大洗へ行くと必ず立ち寄る場所がある。

それが那珂川を挟んで対岸、那珂湊おさかな市場である。

 

ここはもう8年ほど前に訪れたのが初めての事で、それからはここを訪れる度に必ず立ち寄ることにしている。

トロールが始まっている時期なので底物で賑わっていた。

 

今回も何かしら買うつもりで来ていたので、保冷バック等の準備もバッチシ。

ここはいつ来ても地物多し、常磐や千葉、北海道などからも水産物が集まり、賑わっている。

この日の地物はトロール漁のものが主体で、ムシガレイやユメカサゴなどの深場に生息する底モノが多かった。

 

この他千葉からカツオ、そしてシイラの姿も目立つ。

まさか、そんなシイラの中に、この魚がいるなんて、思いもしないので、何となくで見ていたのだが、一本だけ怪しいのがいるのだ。

シイラの雌に見えなくもない。

 

でもそれにしては丸い。

見える範囲の周りの個体も全て見て、計37個体並んでいたが、どうも怪しいのはこの1個体のみ。

市場内を2周3周と悩んだ末に、当たりハズレもないけれど、普通のシイラならそれはそれでまあ良いか!と呑気な具合で買ってみたのである。

 

帰宅後、とりあえず背鰭だけ見てみる。

エビスシイラは背鰭軟条数がシイラに比べやや少ない。

とりあえずここを見ておけばやっと判別が付く。といった具合なのだ。

 

本個体の背鰭軟条数は52で、55-59のシイラとは異なるため、やはりエビスシイラであったのだ。

長い電車移動の後にも関わらず、文字通りに疲れが吹っ飛んだ。

 

 

エビスシイラの特徴

翌日、展鰭を行う。

 

鰭を広げ、改めて見てみると体型が丸く、そして体高が高いことがわかる。

ネットなどで他の個体の画像と見比べてみると体高にややバラつきが見られるようにも思えてくるものの、横にシイラを並べると一目瞭然である。

いずれにしても、シイラに比べ体型がやや丸いという事はあながち間違いではないものの、あまりにも抽象的すぎるので、単体で見分けるということは見慣れていても難しい。

 

今回、私も怪しいな、程度にしか思えていなかった。

怪しい魚は買ってみるべきである。

 

腹鰭は鰭膜が透明色である。

同サイズのシイラでは黒い印象のため、シイラを見慣れた人であればここでも見分けられるのかも知れない。

また、シイラは鎌状に曲がるのに対し、エビスシイラはやや丸い。

 

 

撮影を終え、おろしてみる。

卸す前にも、張りが感じられていたが、卸してみると身質の良さがよりよくわかる。

 

触ってみるとしっとりとしており、いくらか脂を含んでいる様子であった。

内臓は溶けてしまっていたので大きめにトリミング。

シイラは鮮度が命、なのは本種も変わらずだ。

 

 

エビスシイラの料理

エビスシイラの刺身

まずは買った翌日に刺身にしてみた。

鮮度落ちが早いのはシイラ同様で、鰓は赤くとも内臓は完全に溶けていた。

腹の大部分を削ぐことになってしまったが、背の身は生でなんとか食べられそうだ。

 

幅の広い血合いが背と腹の端から端まで覆っている。

この血の気が多いことも足の速さに関係しているのかもしれない。

 

見た目などはシイラと大差がない。しかし、皮下の身が明らかに光っているのはシイラにでは感じられない。

圧倒的に脂があるのだ。

そのため甘さが感じられ、酸味も混じり実に風味豊かでうまい。

 

淡白な味わいのシイラの上をゆく、複雑な味がある。

 

エビスシイラの塩焼き

エビスシイラは骨付きの状態で塩をして味を馴染ませる。

 

皮は硬く、箸では切り崩せないものの、身は柔らかい。

シイラは水分が多く、同じサイズのものなど、単に焼いても然程美味くはないが、本種はそこそこ美味い。

一方で身離れはイマイチ。骨周りに残ってしまうので家で一目を気にせずかぶりつきたい魚である。

 

焼魚として優秀とまではいかないものの、やはりシイラとは一線を画す存在であることがわかる。

〆は湯をかけ医者殺しに。

 

エビスシイラの西京焼き

エビスシイラは尾に近いところを切身にして、西京味噌に漬け込んでおく。

 

これまたとんでもないものが出来上がってしまったな!なんて感心する。

こちらも皮は硬いが、もちっとした食感が美味い。

西京味噌の風味によく合う。

 

身の中の水が抜け、程よくしっとりした歯ざわりで、ご飯の友にも、酒の肴にもなる。

今回、揚げ物は出来なかったが、シイラは油を使った調理、エビスシイラは焼きにそれぞれ適していると思える。

 

 

エビスシイラの評価

価格   ・・・・☆

コスパ  ・・☆☆☆

珍しさ  ・☆☆☆☆

味わい  ・☆☆☆☆

 

価格

・シイラと区別されていないので、シイラ同様に非常に安かった。どの浜でも評価は一定で低いと思われる。

 

・コスパ

尾まで体高が高く、可食部は多めに取れる。歩留まりは悪くない。

 

・珍しさ

非常に珍しい魚。長い事探し回ったが、やっと見つかったというようなもの。産地で手に入る印象。

・味

脂あり、身質も火を入れても程よく締まり加熱にも向く。比較はあまり好ましくないが、今まで食べたどのシイラよりも美味いと感じられた。

 

今回はまさかのエビスシイラを頂いた。

長い事探しており、これは産地に出向かなければ買えないだろうなー、なんてこの夏も考えていたものだ。

シイラを見る度、買う度に、頭の片隅でエビスシイラも思い浮かべてしまう。

しかしそれが、予想もしないところで出会えてしまったという経験をした。

魚探しは何が起こるか分からないというドキドキをいつも抱えているので、人生を豊かにしてくれるのだ。

 

ライター紹介

副管理人:夢海 未利用魚の有効活用方を探して、様々な魚種を食べて美味しく食べられる方法を研究しております。今まで550種以上の魚類を食べてきました。変わった魚の食べ方を中心に公開させて頂きます。どうぞよろしくお願いします! Twitter: @YUMEUMI27 ブログ: 夢海のまったり魚日記

広告