個性がちょっと強すぎたサツオミシマ
こんにちは、夢海です🐟️
今回の魚はサツオミシマ。

なかなかの珍魚であり、市場入荷を見かけたのは2度目であるが、今回が初入手である。
そしてこの魚、見た目も然ることながら、実に変なのである。
持ち帰り、厚紙から取り出す。
すると、どこからともなく、な〜んか変なにおいがしてくるのである。
魚臭さというより、天然のものというよりか工業製品のような、どこかケミカルちっくなにおいなのだ。
数年前、温排水注ぎ込む関東を流れるとある川で捕まえたコクチバスを食べたのだが、まさにそんなにおいが体表から伝わってくる。
もちろん、この魚は海産魚で、浅い河口近くに居るような魚でもないため、温排水などが影響しているものではないと思われる。
このにおいの正体は今でも分からず。
他の個体も同様なのか気になるところだが、やはりにおいが気になるという報告は調べると幾らか出てくる。
とはいえ、貴重な魚を入手したのだ。
美味しく頂こうと思う。
さて、その前に観察をする。
この木魚のようなデッカチな頭と、まさに鬼のような形相が特徴であり、口元はヒゲを生やしているのかと思えば、触ると皮膚であり、1種の皮弁のようなものである。

砂に潜り獲物を待ち伏せにするような魚なので、この皮膚で覆われることにより、砂が口内に入ることを防いでいるのかもしれない。
歯は鋭く尖る。顎の力も強いためか、開くのもひと苦労であった。

人を襲うようなことはないと思うが、釣り上げた時などにうっかり噛まれると笑い事では済まなさそうだ。

胸鰭は大きく、厚い皮膚に覆われる。

臀鰭もまた同じく、厚い皮に覆われており、体との境目はシワシワとしている。
そして何かしらの形で残そうと思い、剥製か骨格かで悩んだが、剥製用の薬槽がいっぱいであったため、今回は骨格にすることにした。
しかしこの後に、骨格を選択して良かった、と思えるような発見があった。
骨の欠損を可能な限り出さないようにするため、慎重に卸していく。
そして顔をのぞかせた背骨は黄色かったのだ。
そういえば歯も黄色かった。
こんな面白いもの、骨格にするしかないじゃない。
剥製ならば、今頃ハサミで鰭の付け根の骨などバッチンバッチン切っていたことに違いない。
剥製にするには脂などを抜く薬槽が満載だったことと、頭部の骨を削りながら皮を剥がす工程が重労働だろうと思い、今の道具では大変だなと感じた事などのおかげ(?)で、面白いものが作れそうである。
一応ネットで調べてみると、いくつか情報があり、やはり黄色いらしい。
今回の個体の"におい"のこともあり、何かしらの異常があるかと思ったが、どうやらそんな事はないのかも知れない。
サツオミシマの料理
サツオミシマの刺身
今回のサツオミシマは刺身のみ。
半身は気になるといった知り合いが居たので譲った。
たぶん、火を入れても消えないだろうな、このにおい。

それっぽく皿に姿で盛ってみる。

身は白く、血合いは見当たらない。
水っぽいのかと言うと、案外そうでもなく、しっとりして程よい水分量だ。
姿で盛ったからか、ケミカル臭は食卓に漂っている。
なので食べる前に嗅いだが、果たして身からもこのにおいが出ているのかは分からない。
が、口へ入れるとそれも直ぐに判明する。
「駄目ですね、こりゃ。」
誰がいる訳でもないのに、声が出てしまった。
たぶん身の味そのものは殆ど無味である。というのは見ればそうだな、と分かるのだが、だからこそケミカル臭がハッキリ感じられる。
まあ、この香りの中で魚の味がしても嫌だけど。
身の質は脱水をしていないオオカミウオのような質感で、コリッとしたような弾力はないが、繊維がしっかりしていて多少噛まないと咀嚼できないような、質のいい白身である。
歯ごたえなどは悪くない。
このにおいがないのならば、今頃美味しく食べられていたのだろうということは分かる。
サツオミシマの評価
価格 ・・☆☆☆
コスパ ・・・☆☆
珍しさ ・・☆☆☆
味わい ーーーーー
・価格
こんなもの、安いんでしょう?と思うがそうでもない。間に幾つか業者を挟んでしまったのもある。魚体は大きいので、流通に乗れば箱代以上の価値はあるのかもしれない。
・コスパ
見ての通りで、歩留まりは良くない。大型になるという点で、かろうじて可食部が取り出しやすいといった感じである。
・珍しさ
流通上、今回で2度目の発見。個体数も多いような魚ではないので、入手するとなると、少し探し回る必要がある。
味
・今回の個体だけでは判別不可能。本当は美味しい魚で、保管中になにか変化があったのかもしれない。また見つけ次第食べたい魚である。
今回はサツオミシマを調理し頂いた。
もしまた手に入る状況ならばどうするか?というと、買うのでしょう、間違いなく。
というのも、この味は通常なのか、というのを確かめたいという気持ちは勿論のこと、今回試せなかった加熱調理するとどうか、という課題もある。
そもそも種類としても普段見るようなものではないので、見つけた時の高揚したテンションのままに買ってしまうことも考えられるだろう。
兎に角、今回のものは美味しかったかというと、正直なところ微妙であった。
が、今後も見逃せない魚であることに変わりはない、というところである。
副管理人:夢海 未利用魚の有効活用方を探して、様々な魚種を食べて美味しく食べられる方法を研究しております。今まで550種以上の魚類を食べてきました。変わった魚の食べ方を中心に公開させて頂きます。どうぞよろしくお願いします! Twitter: @YUMEUMI27 ブログ: 夢海のまったり魚日記


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