混じり子♪混じり子♪カゴカマス

こんにちは、夢海です🐟️

 

今回はみんな大好き混じり子のお話。

混じり子とは、本来入っているはずの魚に紛れて、他の魚が入ってしまうことを言う。

つまりは、イワシという名で出荷した中に、小さいサバが紛れていた、なんて話である。

 

当然自然の海で獲れたものという事に加え、ざっくり仕分けはするものの、人の手では限界があり誤って混ざってしまう、という事はあり得る話なのだ。

これを、勝手ながら私は混じり子と呼んでいる。

今回のものは沼津産のマアジに紛れてきていたのだ。

 

おそらくは巻網などだろうと思われる。

 

 

カゴカマスの特徴

 今回はカゴカマス。

 

タイトルにある通り、"混じり" でやってきたものである。

そのためか、やたらに擦れており、脂のある身が表面に出てきていて、触った手は水を弾く。

姿はマアジにまあ似ていなくはないが、流石に間違えんだろう。なんて思う方もいる筈だが、時間のない中で仕分けていると致し方がない事だとも思う。

 

私個人としてはこのような面白い事が起こり寧ろ嬉しいとまで思うが、 魚屋にしては売り物にならないので厄介である。 なので晩のおかず用に貰ってくる。

カゴカマスは今年2度目、前回は5個体あったが小さかったので書きまとめなかった。 この大きさのものは2度目となる。 珍しいものではないが、流通上では見ないので、なかなか食べる機会は限られている。

 

 

カゴカマスの料理

カゴカマスの刺身と味噌たたき

カゴカマスは半身を刺身と味噌たたきにした。

 

素直に刺身にすると、骨周りの肉が削がれてしまう分、歩留まりは悪くなる。

そこで骨周りの肉をスプーンなどですき取り、味噌たたき用に分けておく。

 

まずは刺身。この魚は小骨が多くてたたかないと食べられない。という職人は稀にいるが、皮下の肉を多めに避ければ刺身は取れる。

しかし歩留りが極端に悪くなるため、好んでは使わないという話である。

しかしこの味を知ってしまえば頑張る価値はあると思う。

 

なんとも言えないなめらかな舌触りで、気がつくととろけて消えている。

脂の甘みが味の大部分を占めているのに、後味はしつこくないのだ。

 

続いては味噌たたき。

 

苦労して取った刺身の皮を使う。

骨に沿ってスプーンを進ませると、気持ちいいくらいに身がすき取れる。

一緒に硬い筋も取り除けるので非常に合理的である。

 

すき取った身に味噌、酢、酒、醤油少々。

ここに好みの薬味を合わせる。

 

元々それなりになめらかだが、さらになめらかになるまでたたく。

これが美味しくないなんて思う人はいるのだろうか?

 

当然青魚と呼ばれるものでないので、青臭さもなく万人に受ける。

味噌の量など、塩気に左右はされるが、ちびちび摘むのにちょうど良い量である。

豊かなカゴカマスの味が香りと共に広がる。

 

カゴカマスの塩焼き

カゴカマスは骨切りをしておく。

 

近縁のクロシビカマスはより大型になり、骨も硬くなるが、カゴカマスはそれほど気にならない。

骨の数も少ない気がする。

骨切りしたものに塩をし、適度に焼き上げる。

 

脂のある魚なので単に焼いても暴力的にうまい。

箸が止まらなくなってしまうのだ。

 

焼きに関しては、マアジを圧倒して本種のほうが旨い。と私は思う程。

焼き上がってすぐ、脂がまだ固まる前にレモンをかけていただくが、実に風味豊かで美味いのだ。

分類的にもカマスとは異なり、当然カマスに感じられる複雑で美味い風味というものはないが、段々と強まる旨味がこちらには見られる。

 

系統的にはタチウオに近いのだが、何となく理解できる。

比べるものじゃないけれど、カゴカマス美味しいぞ!

 

 

カゴカマスの評価

価格   ・・・☆☆

コスパ  ・・☆☆☆

珍しさ  ・・・☆☆

味わい  ・☆☆☆☆

 

価格

・一般的にはあまり消費されない。産地で細々と売られているのだろうと思う。近縁の大型になるクロシビカマスは高値で取引される。

 

コスパ

・歩留まりは普通。皮目の小骨を気にしなければならないので、結果的に可食部が減ってしまうことも

 

珍しさ

・流通上では珍しいが、産地などを訪れると定置網などに入ったりもする。あまり大きくまとまらない印象。

 

味わい

・一度見かけたら食べて欲しい魚である。調理は小骨のことを気にするのであれば骨切りして塩焼きに。

 

今回は混じり子としてカゴカマスをいただいた。

混じり子の中でもかなり嬉しいものである。

とはいえ、この魚の魅力を知る人は少ないし、まさか"アジに紛れてた謎の魚"が、アジと同等以上に美味いだなんて、余程好きでないと知られない。

ならば魅力を発信しちゃえば、とも考えるけれど、数多いる魚でわざわざカゴカマスを覚えたところで、マアジに紛れているのを一体誰が見つけるのか、といった話である。

なので暫くは個人の腹を満たすおかずとして細々と利用させていただく。

混じり子には夢がある。

 

ライター紹介

副管理人:夢海 未利用魚の有効活用方を探して、様々な魚種を食べて美味しく食べられる方法を研究しております。今まで550種以上の魚類を食べてきました。変わった魚の食べ方を中心に公開させて頂きます。どうぞよろしくお願いします! Twitter: @YUMEUMI27 ブログ: 夢海のまったり魚日記

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