秋は何かと話題のバショウカジキ

こんにちは、夢海です🐟️

今回は、秋になると何かと話題になるバショウカジキの紹介。

 

ここ数年、9月も中頃になると、水族館に搬入された!大きめのカジキがスーパーに並んでた!などと、何かと盛り上がる季節となっている。

私も水族館へ行かねば、となるし、今年も手に入るかな?とソワソワしだす時期でもあるのだ。

さて、水族館に搬入されたよーというタイミングの直後、市場でも見つける。

 

今年はどうやらやや多い気がする。

ちなみに昨年は少なかった。

 

 

バショウカジキの特徴

産地は京都府若狭湾。定置網で揚がったものだという。

 

重さは1627gと、1.5kgちょっとだというのに、欠けた上顎からの全長で100cmある。

細長い魚体を持つ本種は、重さの割にかなり大きく感じられる。

手に入って嬉しい!という気持ちの直ぐ後に、ダメージを与えずに持ち帰れるか、という戦いがはじまるのだ。

 

幸いにも今は電車に乗らなくて済むのが救いである。

持ち帰り展鰭、撮影する。

 

定置網だが鰭は部分的に大きく欠損し、吻は辛うじて残っていたものの、先端は欠けてしまっている。

なかなか完品には出会えないというのも、何度もこの魚に出会いたくなるという醍醐味である。

撮影環境は整ってきたので、またシーズン中に何度か撮影したいと考える。

 

↑バショウカジキの鰓。

 

この中にコバンザメの仲間が入り、時に出てはクリーニングをする相利共生を行ういう論文が出たばかり。

この構造を確かめる意味も込めて、今回購入したのだ。

 

バショウカジキは鰓は大きく、体長の小さいコバンザメであれば簡単にこの中に収まってしまう。

そして気になるのが、コバンザメは付いているのか。なのだが、鮮魚のバショウカジキにくっ付いているものは見たことがない。

恐らくは漁獲時に落ちてしまうのだろうと思われる。

 

さて、食として本個体を見てみる。

魚体が細長いので、大きなビニールにくるんと丸めてもらい、それを一生懸命に持ち帰る、のが本種ならではなのだが、この個体は魚体が曲がりにくい。

鮮度の良さなのか、この個体が特に良いのか分からないが、身がよく張っている。

 

鞄から体の半分がはみ出た状態で、注目を浴びながら帰宅。

 

鱗は落ちているものの、スレもどうやら少ない気がするのだ。

 

何度も書くが、身が張っている。刺身にしても申し分はないだろう。

一昨年のシーズン中の個体は身が緩かった。

仕立ての良いものが多い京都産なので、産地での処理の違いもあるかもしれない。

 

 

バショウカジキの料理

バショウカジキの刺身

先にも書いたが、今回の個体は張りがあり、過去に捌いた個体よりも身質が良い。

この大きさであれば身は白いものだとばかり思っていたが、ややピンクがかっている。

 

皮下は筋が強いので、やや浮かせて皮を引くと綺麗に取れる。

 

スダチとワサビで頂いたが、スダチはあまり合わない。

口にいれると香る酸味から、回遊魚の未成魚らしさのある、若々しい味が感じ取れる。

コクのような旨味はないけれど、瑞々しい酸味が実に美味い。

 

表面を軽く炙りレモンか、ポケ丼なんかにすると良いかも。と、書きながら気がついた。

次回はポケを作ろうと思う。

 

バショウカジキの天ぷら

バショウカジキは切身にし、皮を引く。

 

これに衣を付けて180℃の油で揚げてみた。

揚げると如何にも美味そうな味をしている印象を崩さぬうまさ。

塩をしても良いし、天つゆでもいい。

 

今回は前者。

血合いと白身の端境に味の違いが感じられておもしろい。

少々水分はやや多く、冷めてしまうとベシャとなりそうな質感なので、食べるのはお早めに。

 

バショウカジキフライ

バショウカジキは天ぷらと同様に仕込んでおく。

 

バッター液にくぐらせ、お好みのパン粉を付けて揚げるだけなのだ。

バショウカジキは油との相性が良い。

加熱するとやや水っぽさが出てくるので、事前に切身に塩をし、水分を抜いておくとよい。

 

これはタルタル、ソースなんでも合うタイプ。

天ぷら以上に、シイラやワカシといった、定置網にかかる若い回遊魚のような酸味が目立つ。

単価は安いので、惣菜として利用できそうである。

 

バショウカジキの西京焼き

バショウカジキは3枚に卸し、特に筋の強い尾の方を使う。

 

皮付きのまま漬け込んだが、鱗が皮に埋没しているため、皮は取ってしまうと良いかも。

味はしっかり浸透するようなもので、中心まで均一に味噌の香りが入る。

何よりも焼き上がりの質感がよく、硬くなりすぎず、しとっとした美味さがある。

 

これは大型の身の赤い個体で作ると尚良いと思う。

 

バショウカジキのムニエル

作る予定はなかったが、中途半端に切れ端が余ったので試してみた。

これが案外悪くないのだ。 

 

マッシュルームなど、お好みの野菜とソテーすると彩りもよい。

ハーブ類、塩などでで香り付けをし、バターで表面を焼き上げる。

脂はない魚なので、バターと仲良し。

 

引き締まり、密度の高い肉質だが、魚らしい旨味が濃い。

赤身というよりも、アジ科魚類らしさが感じとれる。

洋風にも使える、優等生である。

 

 

バショウカジキの評価

価格   ・・・☆☆

コスパ  ・・☆☆☆

珍しさ  ・・・☆☆

味わい  ・・☆☆☆

 

価格

・小型の個体は、非常に安い。大型でもカジキ類の中では評価が低いのか、比較的安価である。

 

コスパ

・歩留まりは良くないものの、魚体が大きく、判(切身にしたときの断面)も安定してとれる。単価も張らないため、加工場などに持ち込み、惣菜用として活用するのもいいと思える。

 

珍しさ

・地域的なもので、食材としては珍しくはない。珍しいのは、丸ごとの姿で売ってくれているところくらいである。基本的に魚体の大きい魚であるが、秋頃になると日本海の各産地で小型の個体があがる。

 

・珍しいものだが、味は平凡。言い換えれば使い勝手のいい、万能な白身である。

 

今回はバショウカジキを頂いた。

背鰭が欠損してしまっていたものでしたが、それでもやはりいつ見ても美しい魚で、撮影により力が入ってしまう。

本個体はただいま頭骨を作成中なので、こちらも完成すれば、まとめて紹介できればと思います。

 

ライター紹介

副管理人:夢海 未利用魚の有効活用方を探して、様々な魚種を食べて美味しく食べられる方法を研究しております。今まで550種以上の魚類を食べてきました。変わった魚の食べ方を中心に公開させて頂きます。どうぞよろしくお願いします! Twitter: @YUMEUMI27 ブログ: 夢海のまったり魚日記

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