今季初ふぐはカナフグ

こんにちは、夢海です🐟️

今回も豊洲にて。いつものように晩のおかずとなる魚介類を探し歩いていた時、神奈川佐島から来たというカナフグが置かれていました。

カナフグかぁ―…(スタスタスタ)いやカナフグか!?!
と、一度素通りした末に戻ってきて、やはり見間違いでないことを確認。
価格もお手頃。迷わずに購入してきました。

日々ショウサイやヒガン、小さい天然のトラフグなどを見かけていて、ここ数日は今季初フグをそろそろ食べるべしだな。なんて考えていたところでした。

カナフグの特徴

今回、カナフグは初入手の個体になります。

個体数が多くないだけでなく、そもそも流通の場にそれほど流れて来ないものであると思われます。

免許を所持していないため当然、ラウンド(未加工の丸の状態)ではなく、身欠(有毒部位を除去した状態)で購入することとなります。

身欠の状態でも700グラムあり、加工前の姿だと1.5キロ前後はあったのではないか。

すると全長はどれほどなのか。と、色々気になりだしてしまいます。

フグ類はいずれ免許を取得し、ラウンドの状態で入手、撮影を行うことがとりあえずの目標です。

購入日の翌日は大阪、翌々日は下関へ向かうという旅が控えているので、初日は生食を堪能。残りは加熱用として細かく加工して真空冷凍します。

↑ムチムチとした質感。これを眺めるだけでどう食べようかワクワクしてくる。

↑身欠でも尾鰭はそのまま。種類によっては皮膚に毒があることもあり食用不可。

今回のカナフグも食べないようにと仲卸さんに言われたため、とりあえず標本用の冷凍庫行き。

今回の個体は、神奈川県佐島産とのこと。

フグの流通に関しては全く知らない分野なので、荷の作りを見てもピンとは来ませんでした。

カナフグの料理

カナフグのてっさ

薄皮を引いて薄く切りつける。

現状、それほど種類を食べられていないこともあり、フグは種類によって大きな味の変化はないものと考えてます。

微かな特徴も逃さぬよう、まずは何もつけずいただきます。

なめらかな舌触り、ほんのりとした甘味があり、優しい味わい。

ゴリッとした弾力ある食感ではないものの、非常にうまいものとなります。

素材の味を知れたところで薬味を解禁し、ネギともみじおろしを置いては巻き巻きし、レモン汁を絞ってポン酢にちょこん。と。

久しぶりのフグが美味すぎてたまったものじゃありません。

あっという間に食べ尽くしてしまい、山口へ行くという旅の前日であったため、準備に取り掛かりました。

カナフグの焼き切り

焼霜は薄皮を残して柵取りし、薄皮を焼き切るようなイメージで仕立てました。

尾に近い柵をあぶりましたが、炙られた事により風味が増し、火の通ったその表面からはてっさでは感じられなかったまた異なる旨味があります。

やや厚めに切りましたが食感がよく、香ばしさもプラスされまた違った印象があります。

まず香ばしい香りがやって来て、弾力ある身を噛む度に甘味が増します。

表面の火が通った質感の舌触りと甘味は性質が異なるもので、それぞれの味が強調しあいます。

身を厚く切ったこともあり甘味がより強く、深みがあります。

柑橘との相性が素晴らしく良く、レモン果汁で頂きましたが、ちょっと酸味の強いゆず果汁などとも合わせたくなる味わいです。

カナフグ鍋

山口方面へ旅が終わった翌日。旅先ではうまい地魚や鯨料理を堪能してきましたが、思えばフグはマフグのたたきのみをいただき、満足に食べれていませんでした。

そんなこともあり、不完全燃焼した心が真っ先に求めたのがこのフグ鍋。

帰宅してすぐに真空冷凍したカナフグを解凍。

湯引きをして臭みを取り、白菜とネギ、豆腐を適当に切り入れてグツグツ。

味付けは昆布出汁とカナフグのあらを焼いたものを合わせて入れて沸騰しない温度でじっくり抽出したところに、塩で整えるという簡単なものです。

仕上げにゆず皮を散らして完成!

これからの時期は温め直しが食卓で出来ないと困るので、ガスコンロも買わなくてはな。なんて季節の変わりを感じながらも、火を止めて食卓へ急いで運びます。

ぶつ切りにしたカナフグは一切れ一切れ食べ応えがあり、豆腐と同じ大きさのフグがゴロリゴロゴロ入っているだけで嬉しくなります。

塩味の出汁にフグの旨味が溶け込み、焼いたアラの香ばしい香りがいいアクセントになります。

ホロッと繊維の節でほぐれるカナフグは柔らかくボソッとせず、フグが前に出ず汁にも埋もれず、出汁と合わせる事で互いに美味い部分が後押しされ非常に美味。

フグはあっさりした出汁でゆっくり味わうのが贅沢であると思わせてくれます。

カナフグ天

最後は天ぷらで締めます。

最初はフグを揚げたものが食べたい。というところで、鍋用に解凍した切身の一部を細かくスライスし、天ぷらに。

カナフグは魚体が大きく食べ応えがある分、筋肉の節もまた大きいため、切り口によっては分離しやすいです。

フグ天は最もと言っても過言ではないほど魚料理の中での好物。

居酒屋や寿司屋でフグ天の文字を見るとまあテンションが上がってしまうものです。

昔、高知のスーパーで売られていた惣菜的な小さいフグを丸ごと1尾揚げたものの美味さが今でも忘れられません。

今回のカナフグは元の魚体の大きさもあり、筋肉の節が大きい。そのため非常にほぐれやすく、身が締まった様子がそれほど感じられません。

美味しい!美味しいのだけれど...!

やはり天ぷらにするには小型のものを丸っと揚げたもののほうが好みであると改めて思いました。

今年の初フグはこのように迎えましたが、このカナフグにたどり着くまでの数週間探していた記憶を思い出すと、想像していた以上にフグには種類があり、流通するものも少なくありません。

免許を持っていないので身欠での購入が必須となりますが、市場には剥かれた状態で置いてあることも珍しくなく、内臓がなければ鱗もないので持ち帰ったあとの処理も容易です。

トラフグの名と価格が異様に目立ち、高級食材であると思われがちですが、本種のように買い求め易い種もあるため、プロだけでなく一般の方もどんどん買い求めてほしいと思う魚です。

次は小型のショウサイ・サバフグあたりの小さいものを天ぷら用に探さねば。です。

カナフグの評価

価格   ・・・☆☆

コスパ  ☆☆☆☆☆

珍しさ  ・・☆☆☆

味わい  ・☆☆☆☆

 

価格

・比較的安価。フグを何でもいいから食べたい。惣菜的なもので食べたい。等の場合は本種でも存分に楽しめる。

 

コスパ

・身欠であるという製品上、背骨を除き殆どが可食部。コスパはトップクラスにいい。おまけに本種は単価も控えめで買い求めやすい。

 

珍しさ

・比較的流通量の少ないフグの一種であると考える。(誤同定がない限りは)原則標準和名で並べられるので並んでいれば見つけられるが、根気よく探す必要があると思われる。

 

・可能であれば活け〆のもの。身は引き締まりぶりんとしている。惣菜的なフグらしい味わいで、何にも使い勝手がいい。野締めでも刺身になるが、より食感を楽しむならば活け〆を。

 

今回は豊洲で見つけた珍しいフグ、カナフグをいただきました。

定番中の定番料理を一通り作りましたが、焼いてみたり、煮てみたりとまだまだ調理し足りないものがごまんとあるので、まだまだ探し出す必要がありそうです。

 

カナフグはまだ生体、丸の状態共に出会えたことがありません。

図鑑を見ても、サバフグに負けない光沢で黄色や黄金というよりは、そこに黄緑色が混ざりほかの魚ではなかなか見られない発色をしていそうな様子で煌めいている。

いつか出会いたい魚の一つです。

 

広告