南の海の申し子、カタボシイワシ

 

こんにちは、夢海です🐟️

年間を通して魚を食べ歩く(自分で調理が主だが)私にとって、年に2度、魚が手に入らず干からびそうな思いをする時期がやってきます。

 

それは年末年始とお盆休みという漁師、運送業者、市場みんな平等に休もうという期間であり、今回はお盆休みの話となります。

前もって発注していた鹿児島の鮮魚BOXが無事に台風にもやられず届いてきたので、この内容で長い魚のない期間をやり過ごすとします。

 

今回紹介するのはその内の1尾だけ紛れていたカタボシイワシになります。

 

 

カタボシイワシの特徴

カタボシイワシの初食べは2018年と、魚を色々食べ始めた頃に入手した懐かしいメンバーとなります。

当時のものは産地は小田原で、聞いたことがないイワシがわんさか入ってきたとウキウキしていたのを思い出します。

 

それが水産業界に5年以上もいると、至って普通の存在であることが感じられるようになり、年を重ねる毎に見る機会も増えていきました。

 

身は張りあり触ると硬い。鮮度保ちもマイワシに比べると良いように思える。

 

鱗は強く固着していてビッチリ残っている。

 

鱗は強く付いているものの、身や皮は柔らかいので鱗を落とす際には力加減に気をつけたいです。

 

身は赤く、脂はあまり感じられない。

今回は卸した片身に塩をして酢で締めていきます。

 

塩をしてなら酢で締めたものを馴染ませてひと晩。

皮を剥くと血合いは黒っぽく、全体にマイワシに比べると白い油の層がない分見た目はあまり良いとは言えないでしょう。

 

 

カタボシイワシの料理

カタボシイワシの塩焼き

半身は塩焼きに。昔も確か塩焼きで食べたとは思うものの再確認という意味で迷わず焼きにしようと考えました。

骨はどれほど気になるかな?の確認ではなく今回はあくまでも味見なので、念の為骨切りをしました。

 

第一印象としては、味はこんなんだったっけ?となったものの、どこか血合いの香りというか、鉄分らしさのある酸味が感じられ、そこから青魚の旨味へと切り替わっていく様子が伺えます。

気にならない程度の個性のある味で、マイワシにはない良さがあり、ジューシーさの代わりに青魚の旨味が強く、食べ応えがあります。

ほぐし身にしてもサバのフレークのような良さのあるものになるでしょう。

 

産地で本種が獲れすぎて困っているのであればフレークなど加工品にして瓶詰めで販売すれば良いと思うし、出汁用に節にしてみても面白いのではないかなと感じます。

 

ちなみに小骨は骨切りしておけば気にならず、口当たりの問題をそっちのけでカタボシイワシの美味さを堪能できます。

皮目に脂があるようで、表面は揚げ焼きのように香ばしく焼き上がります。

 

カタボシイワシの酢締め握り

酢で締めた片身を握りに。

片身2貫分で満足感のある大きさになりました。

 

マイワシほどの強い脂はないものの、表面を覆う滑らかな質感は確かに脂のもので、どちらかと言うと青物らしい旨味がダイレクトに伝わり非常に美味しく感じます。

魚の脂は美味さの数値をグーンと上げる要素だと思いますが、素材本来の味を隠してしまうカーテンのようなものでもあると私は考えているので、青い背の魚らしい旨味があればほんのりとした脂も感じられるカタボシイワシは高い評価を受けるべき魚なのだと思います。

しかし一点、身がやや硬いのが特色であり、シャリとの馴染みを言えばマイワシに軍配が上がるという要素もあり、ならば気分に合わせて食べ換えれば良いじゃないとなるので、漁獲量が増えて皆嬉しいとなる日もそう遠くないんじゃないかな?

 

今回食べたカタボシイワシがあまりにも美味かったせいか、少なくとも私は夏にはカタボシイワシの酢締めが食べたいと思えます。

 

 

カタボシイワシの評価

 

価格   ・・・☆☆

コスパ  ・☆☆☆☆

珍しさ  ・・・☆☆

味わい  ・☆☆☆☆

 

価格

・まだまだ評価の低い魚。知名度の低さと、まとまって獲れるものの産地が限定的過ぎて安定した市場流通しない点などが理由と考えられる。消費者目線で言えば安くて美味いので有難い存在だと思える。

 

コスパ

・歩留まりは普通。悪くない。丸ごと使った調理に向く。魚価の安さとの相乗効果でコスパはいいと思う。

 

珍しさ

・小売など一般消費者の目に触れる機会はまだ少ないが、産地周辺や市場を見ると稀に出会える。

 

・大変美味しい魚。焼きでもよし、他にも蒲焼き・フライ・なめろうなど用途はマイワシ同様に扱える。

 

今回はカタボシイワシを調理していただきました。

1尾しか手に入らなかったのであれもこれもとは試せませんでしたが、比較的入手しやすい魚となって来ているのでまたどこかのタイミングで紹介できればと思います。

とはいえ、今後もこの魚の漁獲が増えるのであれば、食卓に登る機会がどんどん増えてほしいものですね。

 

ライター紹介

副管理人:夢海 未利用魚の有効活用方を探して、様々な魚種を食べて美味しく食べられる方法を研究しております。今まで550種以上の魚類を食べてきました。変わった魚の食べ方を中心に公開させて頂きます。どうぞよろしくお願いします! Twitter: @YUMEUMI27 ブログ: 夢海のまったり魚日記

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