梅雨前の楽しみ!デコッパチのチダイ

 

こんにちは、夢海です🐟

 

この冬(23-24年にかけて)はタイ科、特に赤いタイ類をよく食べました。

特に今シーズンは、チダイ・ヒレコダイを何度も買い情報収集に努めました。

そんなシーズンも間もなく終わるであろう4月半ば、待ちにまっていた!というような大型の個体が並んでいました。

 

 

チダイの特徴

今回の魚はチダイ。

 

それもデコッパチの大型の雄個体。

チコダイサイズは今シーズンで最も多く買ったものですが、デコッパチは春も深まる頃にやってくるものであり(個人的な印象)、例年千葉などからやってくるのを見ていました。

身は厚みがあり触っただけでニマニマしてしまう魚体で、こんな良いものでも下手すりゃワンコインで買えてしまうのですから、手に入った時にはニンマリしてしまいます。

 

今回の個体は茨城県鹿島沖産。

日戻り漁で揚がった翌日に市場についたものになります。

下氷で仕立てで色が褪せず、青い斑は反射し花鯛の名の如く鮮やかな花色をして輝いています。

 

 

この素晴らしいチダイを帰り、そのままルンルンで卸し仕込むことにしました。

 

 

チダイの料理

チダイのお造りと酢〆握り

 

花鯛の酢〆握り

 

塩15分、酢20分漬けこみ、馴染んできた翌日に酢〆にしたものを切りつけ握りました。

酢で締めるとなると当日食べられないという悲しさはあるものの、翌日も頑張ろう。という活力になります。

 

そのままでは水分がやや多い魚であるため、塩で締めることで身が引き締まり、もちっとしたシャリと馴染みの良い質感になります。

少々レアな仕上がりになり、半生感を感じつつも、皮は酢が浸透し柔らかく、皮下の旨味が溢れます。

チダイの旨味は他の魚では形容し難く、他の魚ではない味わいがあります。

酢で締めたチダイにわさびのツンとした香りが響き、わさびがメインなのかというと、わさびの辛味が消えたあとに一体となりまとまりのある一貫です。

 

駅弁のあじ寿司のような、旅先で食いたい

常磐の駅弁にでないものかな。

 

花鯛の酢〆・酢〆あぶり

せっかくレアな仕上がりになったので素材の味を堪能しよう。ということで、仕込んだ半身の背側は単に造りでいただきます。

写真の半透明感から伝わると思いますが、酢は強く入れず、レアな仕上がりとなりました。

血合いは赤く見栄え良し、酢のあとから追っかけるチダイの旨味は長い余韻を感じられます。

 

香ばしさのある炙りはこれまた危険な食べ物です。

酢で浮き上がった旨味が際立ち、旨味の詰まったやや硬めの皮は炙ると柔らかく食べやすくなります。

これを作るためにチダイを丸々1尾買ってきても良いほど、美味い食べ方を見つけてしまいました。

 

フィレを酢で〆て押し寿司にしてもチダイは横綱級のうまいネタになりうるものだと思います。

 

チダイの潮汁

頭は半割にし、アラ骨と合わせて出汁を取る。

お好みでネギや豆腐などを入れてひと煮立ちさせて完成。

 

塩でのみ味付けをし、あっさりしたスープの中に浮き上がる鯛の旨味を堪能する。

頭部の皮下には脂が豊富で、汁の表面を煌めかせます。

これがなかなかにいい旨味が出て大変美味。

 

真鯛のアラよりも力強さがあり、潮汁にすることで塩とタイの旨味のメリハリがある汁になります。

具は何でもよし、まだ肌寒い初春に手に入れば鍋にしてもいいし、ブイヤベースなどでも存在感を放ちます。

 

チダイのクリームパスタ

余った半身をソテーして上手いこと使えないかな。と考えついたものです。

 

近々魚を売り込む営業の知り合いと話の中で出たのか、"魚を具に使ったパスタ"でした。

 

どんなものが合うのかね。イカでもエビでもなく、魚で。

と聞かれ、フライを添えるのか、ソテーを添えるのか。

果たしてそれはパスタとして合うのであろうか。なんて疑問に感じました。

 

魚を食うとき、米と合わせる事が多い我々日本人ですが、麺類(特にパスタ類)と魚を合わせるというのは(少ないながら郷土料理としてあるものの)、やはり一般には出汁に使うなどで止まるものかなと感じます。

今回はチダイをソテー。イカの細切れと炒め、牛乳にコンソメを溶いたクリームパスタにしてみました。

チダイの身は柔らかく、クリームとの相性は悪くありません。

クセのない旨味もあるので具として優秀です。

スライスしたニンニクと合わせてオリーブオイルとソテーしたので、チダイにも味が入りアクセントとなります。

 

チダイは品のある魚で味わいは控えめなため特に臭みは感じませんでしたが、ここで気がついた点は、パスタは魚の味を臭みに感じさせてしまうのではないかという点。

クリームパスタである事も関係しているのかも知れませんが、チダイの味が少々浮いてしまっているように感じました。

 

このチダイを調理した後にイタリアンへ行く機会があり、そこで細かくされたブリやスズキをオリーブオイルで炒めたソースを絡めたパスタを頂きましたが、これは絶妙に美味かった。

パスタの種類、ソースによっても印象が異なるのであろうと感じると共に、奥深いパスタの入口を覗いた気がします。

ここにハマってしまっては(性格上)色々と大変だ。。

 

また更に一点、己に物申すのであればカットが少々大きくなってしまった点。

パスタに魚を入れるのであれば、一口大にカットして混ぜ合わせるでもいいのかなと感じました。

 

 

チダイの評価

 

価格   ・・・☆☆

コスパ  ・・☆☆☆

珍しさ  ・・・☆☆

味わい  ・☆☆☆☆

 

価格

・比較的安価。味はいいものの、大型のものでもかなり安い。

 

コスパ

・歩留まりは悪くなく、かつ価格も安いためコスパのいい魚。

 

珍しさ

・安価なこともあり、身近な小売でも比較的目にする。基本的にはラウンド(丸魚)で流通。

 

・マダイに劣らぬ旨さ。特に産卵を控えたこの時期であれば身の質はマダイの上をいくと考えている。

 

 

今回はデコッパチの大型のチダイを美味しく頂きました。

春にチコダイがやってきて、次第にデコッパチの個体もやってくる。この流れは水産に努めて1年目に知ったことで、それ以降大型のチダイはまだか。と待つようになりました。

 

小型の個体では少々身が柔らかく、大型の個体になるとしっかりしてきます。

そんな質の違いを楽しみながら、暑くなるのを肌で感じる。蒸し暑いけれども、何だかワクワクする季節になってきました。

 

ライター紹介

副管理人:夢海 未利用魚の有効活用方を探して、様々な魚種を食べて美味しく食べられる方法を研究しております。今まで550種以上の魚類を食べてきました。変わった魚の食べ方を中心に公開させて頂きます。どうぞよろしくお願いします! Twitter: @YUMEUMI27 ブログ: 夢海のまったり魚日記

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