下氷仕立てのピカピカな石狩湾産ニシン

こんにちは、夢海です🐟

 

久しぶりの市場へ調査に出た3月下旬。

せっかく来たのだから面白いものを。と、意気込んで歩き回っていました。

が、この日は入荷量は多いのに魚種が少ない。

なかなか面白いもの、珍しいものが見当たらず、帰るかー、と市場の端っこを歩いていると、やけに気になるものが並んでいました。

 

 

ニシンの特徴

今回購入してきたのはニシン。

春を告げる春告魚と呼ばれる魚のひとつで、産卵のために岸近くへやってきます。

 

今回のものは石狩湾産。

鱗が残っており、仕立ても下氷のいい状態でやってきています。

 

市場の隅っこにひょこんと並んでおり、こんな目立たない場所で売れるもんなのかね。なんて眺めていると飛ぶように売れていきます。

いかんいかん、こりゃなくなってしまう。と、その流れに釣られて最後の2本を頂いてきました。

 

ニシン目の魚は鱗が剥がれやすい種が多く、一般的に食べられるマイワシやニシンは鱗のない状態で届くのが一般的です。

しかし、稀に鱗の残ったきれいな状態で届くこともあり、見かけるたびにうっとりと見惚れてしまう程の美しさがあります。

勿体ない勿体ないなんて嘆きながら鱗を落とし、仕込みました。

 

 

ニシンの料理

生ニシンの握り

薬味のせ、わさび、炙り塩の3種でつけました。

脂はあるものの、秋のニシンほどはありません。

が、その分だけあっさりとし食べやすさは勝ります。

 

単にわさびでつけたもの。

一般にはしょうがでつける事が多いですが、ニシンは脂の質が軽いためわさびでもいけると私は思います。

ニシンの甘みが舌に触れたと思えばわさびのツンとした香りが続いてきて、最後は同時に消えてゆく瞬間的な旨さがあります。

小ネギのシャキッとしたアクセントがよりニシンのまろやかな美味さを強調させます。

 

薬味のせ

これは一般的。青魚は臭みを消すという意味でネギと生姜がよく用いられます。

ニシンよりも先にまず薬味の香りが広がり、追ってジワジワと甘味が増してくるのが伝わります。

 

炙り

皮付きでもよし。

今回は皮引きで仕込んでいたものを炙りに変更したため皮なしでつけました。

 

今回は単に塩で味付けをしましたが、大根おろしをつけても美味。

焼魚のようにしっかり火を通してもよく、余分な脂が落ちて、より食べやすさは増します。

 

ニシンの蒲焼

半身分を使いました。

中骨から外し、血合い骨もできる限り抜いておきます。

ニシンの骨はブラシのように細く柔らかいので、喉に支えることはあまりありませんが、口当たりを少しでも良くしたいのであれば、この除去という作業は欠かせません。

 

大阪湾産のマイワシが手元にあり、それとまとめて調理してしまうか!という発想から蒲焼にしました。

味をつける事によって淡々とした青魚のまったりした脂を感じます。

 

ニシンの白子 ポン酢包み焼き

最後はこの1品。

卵が出れば塩漬けにして数の子にする頭でいたので、腹を開いて白い塊が出てきた時は少々落胆しました。

が、この想定外の食料も活用法は色々。

フライでもいいし天ぷらでもいけるもの。

が、この日は他にも揚げ物を色々と食べたのでフライを食べる気にはなれず、ホイル焼きにしてみました。

さっと湯通しして臭みを落とし、一口大にカットしたらアルミホイルに並べます。

これにネギを散らしポン酢をかけ回したらコンロで焼けるまで火を通します。

 

クリーミーで後味あっさり。

クセがなくフワッとした口当たり。

つまみにするには十分うまい一品です。

ニシンは卵や白子が大きいため、使う使わないで1尾あたりの満足感がかなり変わります。

ぜひ捨てずに利用してください。

 

ところで、卵の価値が高い魚の白子は皆このような質感・形状をしているような気がするとふと考えました。(サケなど)

 

 

ニシンの評価

価格   ・・・☆☆

コスパ  ・・☆☆☆

珍しさ  ・・・☆☆

味わい  ・☆☆☆☆

 

 

価格

・マイワシなどに比べると1尾あたりが大きいのでやや高く感じる。が、用途は多いので、1尾で2品2人前なんて使い方もできる為、庶民の味方なのではないかと思います。

 

コスパ

・コスパよし。歩留まりがいい。生食でない場合は骨付きで調理したい。

 

珍しさ

・秋〜春は小売りでも頻繁に目にする。一般的な季節のもの。

 

・マイワシに比べてまとわりつかないさっぱりした脂で食べやすい。白子なども大きくなるため食材として優秀。

 

今回は春を告げる魚、ニシンを仕入れて食べてみました。

近年、小売でも一般に見かけることが増えたと思います。

1尾あたりいくらとして売られることも多く、夕方にいくと値引かれてしまっているところも残念ながら多々見受けられます。

美味しいという知名度がないのか、はたまたイワシなどに比べるとサイズが大きい分、単価も高いように捉えられているのか。

用途も今回紹介出来なかったものでフライや天ぷら、煮付けなどなど、多彩に及びます。

 

ぜひ来年の春はニシンを買ってみてはいかがでしょうか。

ちなみに脂がのり身が美味いのは秋頃。

秋のニシンもまた絶品です。

 

ライター紹介

副管理人:夢海 未利用魚の有効活用方を探して、様々な魚種を食べて美味しく食べられる方法を研究しております。今まで550種以上の魚類を食べてきました。変わった魚の食べ方を中心に公開させて頂きます。どうぞよろしくお願いします! Twitter: @YUMEUMI27 ブログ: 夢海のまったり魚日記

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